張愛玲(読み)ちょうあいれい

百科事典マイペディア 「張愛玲」の意味・わかりやすい解説

張愛玲【ちょうあいれい】

現代中国の女性作家。1943年,日本占領下の上海彗星のごとく登場,中華文明とヨーロッパ文明,その混血都市である上海・香港が崩壊していく時代を,女性としての低い視線で描き出した。旧家族制度の女性差別とともに新しい自由恋愛もまた女が貨幣と交換される近代市場経済の一環であることを示唆し,現代フェミニズム文学の先駆けともなった。中華人民共和国成立後は香港へ脱出,1955年にアメリカに移住。その後は社会主義リアリズムの手法で共産党独裁下の農民を描いた《赤地の恋》などの作品を残した。台湾・香港では熱狂的に読み継がれ,〈張迷(チャンミー,張狂い)〉現象が続いた。中国では長い間禁書とされてきたが,改革・開放路線が本格化する1980年代後半から大ブームが起こり,高い評価を得るにいたっている。
→関連項目香港大学

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