強誘電性液晶(読み)きょうゆうでんせいえきしょう

百科事典マイペディア 「強誘電性液晶」の意味・わかりやすい解説

強誘電性液晶【きょうゆうでんせいえきしょう】

一般に使われている,分子糸状に並んだネマティック液晶より応答速度が速く,メモリー性を持つ新しい液晶。多くは,分子が層状に並んだスメクティック液晶で,これはネマティック液晶と異なり,外部から電圧を与えなくても自発的に分極する性質があるために高速応答が可能となり,また外部電圧が0となってもその状態を維持・記憶することができる。安価な単純マトリックス方式でも高精細な大画面を作ることができるため,大画面テレビへの活用が期待される。1991年,キヤノンが世界で初めてこの液晶を使用した15インチディスプレーを開発した。→液晶ディスプレー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「強誘電性液晶」の意味・わかりやすい解説

強誘電性液晶
きょうゆうでんせいえきしょう
ferroelectric liquid crystal

カイラルスメクティックC液晶 (Sc) に代表される自発分極を示すスメクティック液晶材料の一種棒状の液晶分子がらせん構造状に配列していて対称中心を持たないため自分子に適当な永久双極子が付与されると,発分極が生じ,強誘電性を示す。 R.メイヤーにより理論的に考察され,1974年に初めて合成された。電界を印加しない状態の初期分子配列を制御することにより双安定性 (メモリ効果) を持たせることができ,高速応答性に優れているため,大容量表示素子,光変調器,光シャッタなど幅広い応用が期待されている。

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