役と(読み)ヤクト

デジタル大辞泉 「役と」の意味・読み・例文・類語

やく‐と【役と】

[副]
一つのことに専念するさま。もっぱら。ひたすら。
「酒を造り置きて、他のことにも使はずして、―蜂にのませてなむこれを祭りける」〈今昔・二九・三六
はなはだ。やけに。たいそう。
「―足が達者だぁのし」〈滑・膝栗毛・四〉

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精選版 日本国語大辞典 「役と」の意味・読み・例文・類語

やく‐と【役と】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「役として」の意味から )
  2. 一つのことに専念し、行なうさまを表わす語。もっぱら。ひたすら。
    1. [初出の実例]「上の御前などにても、やくとあづかりてほめきこゆるに、いかでか」(出典:枕草子(10C終)一三五)
  3. ついでや成り行きでなく、意図して事を行なうさまを表わす語。わざと。ことさら。やくとう。〔名語記(1275)〕
  4. 程度がはなはだしいさまを表わす語。たいそう。やたらと。
    1. [初出の実例]「飯も扣(ひか)へて、五六はいよりやくとくふな」(出典滑稽本・田舎草紙(1804)五)

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