往んじ(読み)インジ

デジタル大辞泉 「往んじ」の意味・読み・例文・類語

いん‐じ【往んじ】

《「い(往)にし」の音変化》
[名]過ぎ去った時。過去往時。むかし。
「―をとがめずと申す事候へば」〈太平記・三八〉
[連体]過ぎ去った。去る。
「義仲―年の秋、宿意を達せんがために」〈平家・七〉

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精選版 日本国語大辞典 「往んじ」の意味・読み・例文・類語

いん‐じ【往じ】

  1. [ 1 ] 〘 連体詞 〙 ( 動詞「いぬ(往)」の連用形に、過去の助動詞「き」の連体形「し」が付いた「いにし」が変化したもの ) さる。さんぬる。いにし。過ぎ去ったところの。時を表わす語を修飾する。
    1. [初出の実例]「いんし安元三年四月廿八日かとよ」(出典:兼良本方丈記(1212))
  2. [ 2 ] ( 転じて ) 過ぎ去ってしまった時。また、その頃の事柄。過去。往時。むかし。
    1. [初出の実例]「往(インジ)の友に、はしたなくゆきあへり」(出典地蔵菩薩霊験記(16C後)一三)

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