微分形式(読み)びぶんけいしき(その他表記)differential form

改訂新版 世界大百科事典 「微分形式」の意味・わかりやすい解説

微分形式 (びぶんけいしき)
differential form

通常のリーマン積分で現れる,微小体積dxdydzなどを微分可能多様体上に一般化するのが,微分形式にほかならない。逆にいえば,微分形式を定めるには,一般次元の微小体積をユークリッド空間でまず定めておくことが必要である。これがいわゆる外積代数であって,したがって体積要素の定式化である以上は,同じ〈辺〉が2度以上現れると0とか,相隣る二つの〈辺〉が入れかえられると符号が逆になるなどの規約は自然に導入されるべきものである。なお上で〈辺〉と書いたものは,ほんとうの辺に対してその体積を与えるものであるから,辺の双対とでもいうべきものであり,辺を示す∂/∂x,∂/∂y,……に対して,dxdy,……と書かれるものである。

 多様体も局所的にみればユークリッド空間であるから,局所的に導入される座標を用いて微小体積fdxdyなどを考えることはやさしい。問題はこれが多様体におけるはり合せによって隣の座標系の一部にまた微小体積を定めてくることであって,多様体全体での微小体積,すなわち微分形式を定めようとするときには,各局所座標系でそれらが互いに矛盾しないように定めねばならない。言い換えれば,微分形式とは,各局所座標系で互いに矛盾なく与えられた微小体積要素であるということになる。なお,局所的な体積要素には,微分の拡張として得られる外微分dが作用するが,この作用素も(大域的な)微分形式に対してもその定義が拡張される。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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