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心機能検査 しんきのうけんさheart function test

世界大百科事典 第2版の解説

しんきのうけんさ【心機能検査 heart function test】

心臓の機能を評価するために行う一群の検査をいう。心臓の機能で最も基本的なものは,全身の血流を確保するポンプ作用であり,この作用を維持するための機構として,心臓の電気的興奮による調律,心臓各室の収縮房室弁および動脈弁などによる血液の逆流防止,冠状動脈による心筋への栄養・酸素供給,形態の適応的変化などがある。心機能検査はこれらのそれぞれの働きを評価するもので,形態の評価,拍出される血液の量と拍出様式の評価,血流を維持するための圧力の評価,電気的興奮過程の評価,および病態の原因または結果としての血液などの変化の評価が含まれる。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

心機能検査
しんきのうけんさ

心臓の機能を調べることで、循環機能検査ともいう。心臓病の診断には視診や打聴診のほかに、心電図や胸部X線検査などによって器質的な異常を調べることが必須(ひっす)であるが、病態の正確な把握、重症度の評価、治療法の選択や予後の判定に際して心機能不全の有無およびその程度を知ることも重要である。心機能不全は他覚的に頸(けい)静脈怒張、肝腫大(しゅだい)、浮腫(ふしゅ)(むくみ)や肺野ラ音(ラッセル音の略で、肺の聴診上聞かれる一種の雑音)の聴取によっても診断されるが、その正確な判定には、次のような検査法を適宜選択して行う。
(1)静脈圧測定 心不全の診断に必要で、注射針を直接静脈に刺入して測定する。右心不全の程度に伴い、静脈圧は高くなる。
(2)循環時間測定 血液が一定の血管距離をもっとも速く流れる時間を測定する。一般には末梢(まっしょう)静脈より指示薬を注入し、検出部位までの指示薬の移行する時間を測定する。心不全や末梢循環障害で延長し、動脈管開存症など正規でない循環経路を生じた短絡疾患や甲状腺(せん)機能亢進(こうしん)症で短縮する。
(3)心臓X線検査 心臓を4方向からX線撮影することにより、心臓弁膜症や心不全にしばしば随伴する心房、心室、大血管の拡大の有無およびその程度を判定する。また、左心不全徴候である肺野うっ血・浮腫像も知ることができる。
(4)心音図・心機図 心臓および大血管の拍動に関連した機械的現象をとらえたものを心機図といい、通常、心音図と心電図を参考曲線として、頸動脈波、頸静脈波、心尖(しんせん)拍動図などを同時記録する。心機図によって非観血的に心疾患の補助診断、心時相の同定、心機能の推測などを行う。
(5)超音波エコー法 超音波探触子を胸壁に当てて心臓内構造物の形態と動きを非侵襲的に調べる方法で、これにより弁や壁の動き、心室壁の厚みを描出し、弁膜症や心臓肥大の程度および心収縮能の評価を行う。
(6)心臓RI検査 RI(放射性同位元素)を体内に投与し、心臓や肺への分布状況およびその経時的変化から心臓の形態や循環動態機能を診断する方法で、心筋を描出する心筋シンチグラフィと心臓および大血管内の血液を描出する心プールシンチグラフィの2種がある。前者によって心筋梗塞(こうそく)部位や心筋血流量を、また後者によって心拍出量、循環血液量、短絡疾患の有無などを知ることができる。
(7)心臓カテーテル検査 大腿(だいたい)動静脈または上腕動静脈からカテーテルを挿入し、大動脈や肺動脈などの大血管および心臓の腔内(くうない)の血圧、血液中の酸素と炭酸ガスの含量などを調べる。これによって肺高血圧症の有無、弁膜や短絡疾患の有無および程度、心拍出量などがわかる。また、カテーテル先端より造影剤を注入し、心臓血管造影を行って心臓奇形や弁膜異常などの形態異常を検出するほか、心機能を評価することもできる。なお虚血性心疾患の診断のためには通常、冠動脈造影もあわせて行う。[井上通敏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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