二つの命題pとqとを「ならば」で結合して「pならばqである」という合成命題をつくることができる。いま、この合成命題「pならばqである」が真、つまり、pが真であるすべての場合について、いつもqが真であるとする。このことは換言すれば「qが真でなければけっしてpでない」こと、すなわち、「pであるためには、qであることが必要である」ことを示している。したがって、「pならばqである」という命題において、qのことをpであるための必要条件という。たとえば、「ある整数が6の倍数であれば、それは3の倍数である」は真である。実際、一つの整数が3の倍数でなければ、それはけっして6の倍数とはならない。したがって、「3の倍数である」ということは「6の倍数である」ための一つの必要条件である。
[古藤 怜]
…論理的条件の中心は現代論理の中核にある標準論理の条件で,いま任意の2命題をp,qとすると,p→qあるいはp⊃q等で表現され,その全体を条件(式),→(または⊃)を条件詞(または条件記号),pをqの前件,qをpの後件という。また,pをqの十分条件,qをpの必要条件というが,必要条件という命名の理由は,p,qのそれぞれを否定にして順をかえた〈qでないならばpでない〉は〈pならばq〉のいわゆる〈対偶〉で,両者は互いに等しく,したがって,〈pならばq〉とは〈qが成り立たなければpも成り立たない〉に等しい点にある。標準論理の条件は別名〈実質含意〉ともよばれ,標準論理の他の命題結合詞と同様に,p,qのそれぞれの真偽の値によって定義され,pが真,qが偽のときのみ全体が偽で,他の場合(pもqも真,pが偽でqが真か偽)にはすべて真とされる。…
…二つの条件p,qについて,〈pならばq〉が真であるとき,pはqの十分条件であるといい,また,qはpの必要条件であるという。例えば,△ABCについて,〈それが正三角形である〉ことをpとし,〈それが二等辺三角形である〉ことをqとすれば,その例になる。…
※「必要条件」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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