二つの命題pとqから「pならばqである」という合成命題をつくることができる。これを条件文という。条件文「pならばqである」が真であるとき、つまり、pが真であるすべての場合について、いつもqが真であるとき、pをq(が真)であるための十分条件という。たとえば「一つの四辺形が正方形であれば、2組の向かい合う辺がそれぞれ平行である」という条件文は真である。そこで、「一つの四辺形が正方形である」という命題は「2組の向かい合う辺がそれぞれ平行である」という命題の十分条件であるといえる。ところで、「2組の向かい合う辺がそれぞれ平行である」ことが成り立つためには、仮定に与えられた四辺形は正方形でなくとも、他の四辺形、たとえば菱形(ひしがた)や平行四辺形などでもよい。しかし、とにかく、正方形であれば十分に「2組の向かい合う2辺がそれぞれ平行である」と結論づけることができる。
[古藤 怜]
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…論理的条件の中心は現代論理の中核にある標準論理の条件で,いま任意の2命題をp,qとすると,p→qあるいはp⊃q等で表現され,その全体を条件(式),→(または⊃)を条件詞(または条件記号),pをqの前件,qをpの後件という。また,pをqの十分条件,qをpの必要条件というが,必要条件という命名の理由は,p,qのそれぞれを否定にして順をかえた〈qでないならばpでない〉は〈pならばq〉のいわゆる〈対偶〉で,両者は互いに等しく,したがって,〈pならばq〉とは〈qが成り立たなければpも成り立たない〉に等しい点にある。標準論理の条件は別名〈実質含意〉ともよばれ,標準論理の他の命題結合詞と同様に,p,qのそれぞれの真偽の値によって定義され,pが真,qが偽のときのみ全体が偽で,他の場合(pもqも真,pが偽でqが真か偽)にはすべて真とされる。…
…二つの条件p,qについて,〈pならばq〉が真であるとき,pはqの十分条件であるといい,また,qはpの必要条件であるという。例えば,△ABCについて,〈それが正三角形である〉ことをpとし,〈それが二等辺三角形である〉ことをqとすれば,その例になる。…
※「十分条件」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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