改訂新版 世界大百科事典 「思想改造」の意味・わかりやすい解説
思想改造 (しそうかいぞう)
sī xiǎng gǎi zào
中華人民共和国成立後,数年にわたり全国的な範囲と規模でおこなわれた知識人の自己改造・自己変革を思想改造という。新中国では民主的改革の徹底化と工業建設の推進のために,文化・教育界および各分野の知識人の自発的・積極的貢献をかちとることが不可欠であったが,知識人の多くは地主など搾取者の家庭に出自し,欧米式のブルジョア教育で自己形成をとげたものであった。彼らが旧社会から持ちこんできた習慣や思想を改造し,勤労者さらにはプロレタリアへ立場を移すよう,組織的な学習運動がおこなわれた。それは当時,中国外の反対者からは〈洗脳〉(強制学習)と非難されたが,実際には啓発を根本とし,学習・討論(批判,自己批判)と反封建闘争(土地改革など),反帝国主義闘争(抗米援朝)への参加・実践を結合する方式で進められ,知識人を中国共産党の周囲に団結させるうえで大きな成果をあげた。映画《武訓伝》批判,胡適思想批判など,新中国発足早々,くりかえしおこなわれた思想キャンペーンも,その一環であった。
執筆者:小野 信爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報