洗脳
せんのう
共産主義社会における思想改造をいう。中華人民共和国成立後、数年間にわたって旧体制の知識人などを共産主義体制に適合的な人間に改造する作業が繰り広げられたが、こうした作業を中国外の反対者は、非難の意味を込めて洗脳brain washingとよんだ。その後、このことばは、共産主義社会における強制的な政治的社会化を意味する用語として西側諸国に定着した。第二次世界大戦後、ソ連の捕虜収容所に抑留されていた日本軍兵士の洗脳が話題となったこともある。
[安 世舟]
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せん‐のう ‥ナウ【洗脳】
〘名〙 その人の主義、
思想を根本的に改造すること。第二次世界大戦後の中国で、反革命分子とされた人々に対して行なった、精神的・物理的
圧迫による思想改造の工作をさした語による。
※赤い国の旅人(1955)〈火野葦平〉四月二一日「いかな火野さんでも偉大なる新中国の建設の姿を見たら洗脳されるだろう」
※愛と知と悲しみと(1961)〈
芹沢光治良〉八「母の愛で洗脳しようと思いましたが」
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洗脳
せんのう
brain washing
個人の思想や価値観を,物理的,社会的圧力を加えるなどの操作によって必ずしも本人の欲しない方向へ急速かつ大幅に改変させること。共産主義国家などで行われた強制的な思想改造が知られる。感覚遮断や賞罰の操作などの反復による学習の一つといえるが,その効果は永続的でない場合が多いといわれる。
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洗脳【せんのう】
特異な環境下で一貫した徹底的な教育を行い,従来もっていた思想,信念などを洗い流して新しい思想,信念を植えつけること。〈思想改造〉を意味する中国語に由来。程度の差,手法の巧拙はあれ,あらゆる教育が洗脳である。
→関連項目感覚遮断|マインド・コントロール
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デジタル大辞泉
「洗脳」の意味・読み・例文・類語
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知恵蔵
「洗脳」の解説
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世界大百科事典内の洗脳の言及
【思想改造】より
…彼らが旧社会から持ちこんできた習慣や思想を改造し,勤労者さらにはプロレタリアへ立場を移すよう,組織的な学習運動がおこなわれた。それは当時,中国外の反対者からは〈洗脳〉(強制学習)と非難されたが,実際には啓発を根本とし,学習・討論(批判,自己批判)と反封建闘争(土地改革など),反帝国主義闘争(抗米援朝)への参加・実践を結合する方式で進められ,知識人を中国共産党の周囲に団結させるうえで大きな成果をあげた。映画《武訓伝》批判,胡適思想批判など,新中国発足早々,くりかえしおこなわれた思想キャンペーンも,その一環であった。…
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