日本大百科全書(ニッポニカ) 「恩施」の意味・わかりやすい解説
恩施
おんし / エンシー
中国中部、湖北(こほく)省南西部の清江(せいこう)上流の恩施盆地にある県級市。恩施トゥチャ族(土家族)ミャオ族(苗(びょう)族)自治州の州政府所在地である。人口82万1000(2014)。重慶(じゅうけい)市、湖南(こなん)省と境を接する。三国呉の時代に沙渠(さきょ)県が置かれ、隋(ずい)代には清江県と改称、明(みん)代には施州衛が置かれ、清(しん)代に恩施県となり、施南府の府治であった。1982年市制を施行した。四川(しせん)省と湖南省を結ぶ交通の要衝で、トウモロコシ、米、サツマイモ、桐油(きりゆ)、漆、茶を産し、茶は恩紅茶の名で知られる。漆器、石刻の伝統工芸が盛んである。
[河野通博・編集部 2017年8月21日]