悍い(読み)オゾイ

デジタル大辞泉 「悍い」の意味・読み・例文・類語

おぞ・い【×悍い】

[形][文]おぞ・し[ク]
気が強い。強情だ。おぞましい。
うちの后、いと―・く心賢くおはし給ふ」〈宇津保・国譲中〉
恐ろしい。こわい。
「おどろおどろしく―・きやうなりとて」〈蜻蛉
悪賢い。ずるい。
そちが今度の―・い仕様」〈浄・歌念仏

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精選版 日本国語大辞典 「悍い」の意味・読み・例文・類語

おぞ・い【悍】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]おぞ・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「おずし」の変化した語か )
  2. 気が強い。強情だ。おずし。おずまし。おぞましい。
    1. [初出の実例]「うちの后、いとをぞく心かしこく」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)
  3. 恐ろしい。こわい。
    1. [初出の実例]「おどろおどろしくをぞきやうなりとて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蜻蛉)
  4. よくない。悪い。
    1. [初出の実例]「それはそなたのおぞい」(出典:咄本・醒睡笑(1628)七)
  5. 悪賢い。ずる賢い。
    1. [初出の実例]「河内一国なびく草むら 楠がおぞひ事共工みては」(出典:俳諧・西鶴大矢数(1681)第二二)
  6. 利口である。賢い。〔物類称呼(1775)〕

悍いの語誌

( 1 )の意の「おずし」は上代から見られるが、「おぞし」は中古からで、意味の中心も次第にからへ移っていった。
( 2 )中世頃からみられる「えずい」は「恐ろしい」意が原義と考えられ、「おぞい」から変化した語とも考えられる。

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