( 1 )ズの歴史的仮名遣いは、ズ・ヅの別が保たれていた一五~一七世紀初頭の抄物やキリシタン資料の表記からズと考えられる。よって、ヱヅク(嘔吐する)と同源とする説には従いがたく、エの歴史的仮名遣いもエとするのが穏当。
( 2 )語義上、重なる点の多いオゾイ(シ)の古形オズシから変化したものか。オズシ・オゾイ(シ)がオズマシ・オゾマシなどの派生形をともなって平安仮名文学に現われる、優勢で規範的な語形だったのに対し、エズイは、抄物など口語性のあるものに現われることから見て、長らく俗語・口頭語として伝えられたものと思われる。