えずい(読み)エズイ

デジタル大辞泉 「えずい」の意味・読み・例文・類語

えず・い

[形]《中世・近世語》
1 不快である。いとわしい。
「きたなさうに、―・い色が見へたぞ」〈史記抄・佞幸列伝〉
2 怖い。恐ろしい。〈日葡〉
3 ひどい。乱暴である。
「お家主どのへことわって、―・い目にあはせてくれべい」〈滑・膝栗毛・発端〉

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関連語 文語形 顕密 実例

精選版 日本国語大辞典 「えずい」の意味・読み・例文・類語

えず・い

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]えず・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. ① 胸がむかつくほどに不快である。いとわしく気持が悪い。
    1. [初出の実例]「きたなさうに、えすい色が見へたぞ」(出典:史記抄(1477)一七)
  3. ② 面倒である。
    1. [初出の実例]「弓を外返す事中々えずき物なれ共、顕密の二法也」(出典:月菴酔醒記(1573‐92頃)上)
  4. ③ 自分に害を加えそうなもの、強いものなどに対して恐ろしく感じる。こわい。
    1. [初出の実例]「我が子で問ずことを知ほどな程にと云て、えずう思たぞ。あまりにをそろしいと云て、いやがるぞ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)五)
  5. ④ 思いやりがなく扱いが乱暴である。薄情だ。ひどい。
    1. [初出の実例]「飯裡に有レ沙、上えにやはらかなやうなが、底がえずいこと也」(出典:寛永十年刊本無門関鈔(17C前)下)
  6. ⑤ 目にごみがはいったときのような感じである。
    1. [初出の実例]「 エズシ〔字彙〕物入二目中一也」(出典:書言字考節用集(1717)九)

えずいの語誌

( 1 )ズの歴史的仮名遣いは、ズ・ヅの別が保たれていた一五~一七世紀初頭の抄物やキリシタン資料の表記からズと考えられる。よって、ヱヅク(嘔吐する)と同源とする説には従いがたく、エの歴史的仮名遣いもエとするのが穏当。
( 2 )語義上、重なる点の多いオゾイ(シ)の古形オズシから変化したものか。オズシ・オゾイ(シ)がオズマシ・オゾマシなどの派生形をともなって平安仮名文学に現われる、優勢で規範的な語形だったのに対し、エズイは、抄物など口語性のあるものに現われることから見て、長らく俗語・口頭語として伝えられたものと思われる。

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