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噺本(はなしぼん)(笑話本)。八巻。浄土宗の説教僧であった安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)が、京都所司代板倉重宗(いたくらしげむね)の懇請によって編集したもの。1623年(元和9)に完成し、28年(寛永5)3月17日に重宗に贈呈した。写本で伝わるもの(広本)には1000余の咄(はなし)を、整版本(略本・狭本)には311の咄を収め、それぞれ42項に分けられている。内容は、策伝が見聞した各地の逸話、僧界の内情、戦国武将の行状、民間説話、風俗や書物から得た説話を材料にした笑話が主であるが、経典の解釈や教訓・啓蒙(けいもう)的な咄も多い。咄の末尾に落ちをつける「落し噺(ばなし)」の型をもつものがほとんどであり、策伝自身がこれらを説教の高座で実演したために安楽庵策伝は後世「落語の祖」とたたえられた。この書は、説教僧としての策伝が、説教話材のメモを集成したものである。したがって、噺本(笑話本)ではあるが、説教本(仏書)の性格をもっている。
[関山和夫]
『鈴木棠三校注『醒睡笑』上下(岩波文庫)』▽『関山和夫編『醒睡笑』(1981・桜楓社)』
笑話本,噺本。8巻。安楽庵策伝が,京都所司代板倉重宗の依頼によって1615年(元和1)ごろに筆を起こし,23年に完成,28年(寛永5)3月17日に重宗に献呈したもの。写本で伝わるもの(広本)と整版本(略本,狭本)があるが,内閣文庫本(広本)には1039の咄(笑話(しようわ),落し噺),寛永整版本には311の咄が収められ,それぞれ42項に分類してある。この書は浄土宗の説教僧であった策伝が説教の話材を集めたもので,教訓・啓蒙的な咄もあるが,あらゆる種類の滑稽談が網羅され,後世の落語や戯作に強い影響を与えた。本書所収の落し噺は,著者が説教の高座で実演したものであるため安楽庵策伝は〈落語の祖〉と呼ばれる。
執筆者:関山 和夫
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仮名草子。8巻。安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)著。1623年(元和9)成立,28年(寛永5)京都所司代板倉重宗・同重郷父子に献呈された。1030余の短編笑話を42項に分類し収めた写本と,300余話に抄出した版本がある。純粋な笑話もあるが,和歌・狂歌などの風流韻事にかかわる実在人物の機知に富んだ話が多い。「岩波文庫」「噺本大系」所収。
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…長じて山陽・近畿地区で布教活動に従事し,いったん美濃の浄音寺に帰ったが,1613年(慶長18)に京都の大本山誓願寺55世住職となる。同寺在住中に《醒睡笑》8巻を著し,同書が完成した23年に誓願寺塔頭(たつちゆう)竹林院を創立してここに隠居。茶室の安楽庵に風流の人士を招いて茶事をなし,狂歌を楽しむ。…
…それは,武将本位の《戯言養気集》に対して,各階層を主人公にした幅広い題材と平和時代に合致する明朗な笑いを提供したためだった。これと並んで《醒睡笑(せいすいしよう)》(1628成立)も当時の御伽衆の姿を伝えていた。これは,フリーな立場にあった御伽衆の安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)が,京都所司代板倉重宗の御前で口演したはなしの筆録で,武家に関する咄,板倉父子の裁判咄なども収められ,《昨日は今日の物語》にくらべると,庶民性,明朗性に欠ける。…
※「醒睡笑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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