悪性高血圧(読み)あくせいこうけつあつ

家庭医学館 「悪性高血圧」の解説

あくせいこうけつあつ【悪性高血圧】

 高血圧慢性の経過をたどる病気で、合併症をおこすにしても、10年、20年といいう月日がかかるのがふつうです。ところが、高血圧のなかには、2~3年のうちに腎不全(じんふぜん)、心不全(しんふぜん)、眼底出血、昏睡(こんすい)などをおこして生命にかかわるものがあって、悪性高血圧といいます。
 厚労省の研究班が作成した診断基準では、①最低血圧が130mmHg以上ある、②眼底検査(がんていけんさ)で、著しい出血や動脈硬化(どうみゃくこうか)がみられ、乳頭(にゅうとう)にうっ血(けつ)がみられる、③腎機能障害(じんきのうしょうがい)が急速に進み、腎不全を示す、④頭痛嘔吐(おうと)、昏睡などの脳圧亢進症状(のうあつこうしんしょうじょう)や心不全をともなうことが多い、などが悪性高血圧の特徴です。
 治療は、複数の強力な血管拡張薬を使用して血圧を下げます。
 その後は、腎硬化症(じんこうかしょう)(「腎硬化症」)の程度に準じて治療します。

出典 小学館家庭医学館について 情報

世界大百科事典(旧版)内の悪性高血圧の言及

【高血圧性脳症】より

…高血圧に伴って急激かつ一過性に脳症状の出現するものをいう。いかなる原因による高血圧でも生ずるが,悪性高血圧,糸球体腎炎および子癇などによることが多く,発症年齢は原因となる疾患のそれと同じである。脳症状としては,しだいに強くなる頭痛,嘔吐,癲癇(てんかん)様痙攣(けいれん)発作が多く,精神障害(錯乱),ついで意識障害(傾眠~昏睡)が出現する。…

※「悪性高血圧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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