知恵蔵 「愛川欽也」の解説
愛川欽也
埼玉県立浦和高校を中退後、54年から俳優座養成所で研究生として演技を学んだ。洋画や海外ドラマの声優として活動し、アメリカの名優、ジャック・レモンの吹き替えで頭角を現した。
58年、「おかあさん」(TBS系列)でテレビドラマデビュー。70年代に深夜ラジオ番組「パック・イン・ミュージック」(TBSラジオ)のパーソナリティーを務めて人気となる。その後、「11PM」(日本テレビ系列)や「なるほど!ザ・ワールド」(フジテレビ系列)、「出没!アド街ック天国」(テレビ東京系列)など人気番組の司会を担当した。「11PM」は12年間 、「なるほど!ザ・ワールド」では15年間司会を務め、多くの長寿番組に関わったことでも知られる。
俳優としては、親友の菅原文太と共に、東映に企画を持ち込んだという75~79年の映画「トラック野郎」シリーズが大ヒット。菅原演じる主人公「一番星」の相棒「やもめのジョナサン」を好演した。またテレビでも、「土曜ワイド劇場」(テレビ朝日系列)の「西村京太郎トラベルミステリー」シリーズの亀井刑事役を始め、幅広い役を演じた。
「劇団キンキン塾」を主宰し、自身が理想とする芝居の実現にも取り組んだ。2009年には、私財を投じて東京・中目黒に小劇場を開設。おしどり夫婦で知られた妻うつみの愛称「ケロンパ」と自身の愛称にちなんで「キンケロ・シアター」と名付け、自身の監督作品などを上演した。
1995年の番組開始から司会を務め、「おまっとさんでした」のあいさつで始まる「出没!アド街ック天国」では、2014年9月、情報番組の世界最高齢司会者としてギネス記録に認定されたが、15年3月の放送1000回記念番組を区切りに退いた。
14年冬に肺がんが判明し、自宅療養を続けていたが、15年4月15日、容体が急変し80歳で死去。所属事務所によると、息を引き取る直前まで「仕事に行こう」と話していたという。本人の意向で近親者により密葬が営まれた。
(南 文枝 ライター/2015年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報