或は(読み)アルハ

デジタル大辞泉 「或は」の意味・読み・例文・類語

ある‐は【×或は】

[接]《動詞「あり」の連体形係助詞「は」から》
(「あるは…、あるは…」の形で)ある者は。ある場合は。
「―年ごとに鏡のかげに見ゆる雪と浪とをなげき…、―昨日は栄えおごりて時を失ひ」〈古今仮名序
あるいは。または。
逢坂山に至りて手向けを祈り、―春夏秋冬にも入らぬくさぐさの歌をなむ撰ばせ給ひける」〈古今・仮名序〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「或は」の意味・読み・例文・類語

ある‐は【或は】

  1. 〘 接続詞 〙 ( ラ変動詞「あり(有)」の連体形に係助詞「は」の付いたものから ) →あるいは
  2. ( 「あるは…、あるは…」の形で ) 同類事柄を列挙し、それぞれの場合があることを示す。あるものは。ある場合は。一方では。
    1. [初出の実例]「或は躁動の心に為(よ)り、或は瞋と恚と恨とに因(よ)り」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)二)
  3. ( 「…あるは…」の形で ) 同類の事柄のうちどちらか一方が選択される関係にあることを示す。または。もしくは。
    1. [初出の実例]「あふさか山にいたりてたむけを祈り、あるは春夏秋冬にも入らぬくさぐさの歌をなん選ばせたまひける」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)

或はの語誌

漢文の「或」などの訓読から発生し、平安初期には、おおむね「ある人が」の意には「あるいは」、「ある場合は」の意の接続のときは「あるは」と読み分けていた。平安中期以降は接続の場合も「あるいは」にとって代わられた。

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