戦闘員非戦闘員(読み)せんとういんひせんとういん(英語表記)combatant, noncombatant

改訂新版 世界大百科事典 「戦闘員非戦闘員」の意味・わかりやすい解説

戦闘員・非戦闘員 (せんとういんひせんとういん)
combatant, noncombatant

戦争において戦闘員と非戦闘員区別し,後者に対する直接攻撃を禁止する原則は,戦争法の基本原則の一つである。戦闘員とは一般に交戦国軍隊(正規軍のみならず,一定の条件を満たす民兵隊義勇隊,組織的抵抗運動団体,さらに群民蜂起の構成員を含む)の構成員を指すが,そのうち衛生要員や宗教要員等軍隊を援助するために所属する要員は除かれる(1907年ハーグ陸戦規則3条,1977年第1追加議定書3条2項)。戦闘員は敵対行為に直接参加する権利を有する。そのため逆に,戦闘員は敵の攻撃対象とされうるが,傷病投降により戦闘外におかれた場合には一定の保護が与えられ,敵の権力内に陥った場合には捕虜となる。他方,非戦闘員はおもに交戦国の文民・一般住民であるが,戦闘員以外の国民のすべてを指し,さらに自国に在留する外国人(中立国および相手交戦国国民を含む)をも含む。交戦国は非戦闘員の尊重・保護を確保するため,戦闘員と非戦闘員を区別し,その軍事行動を戦闘員を含む軍事目標にのみ向けなければならない。ゲリラ戦のような戦術がとられる場合でもその区別は守られなければならない。非戦闘員は軍事行動から生ずる危険に対して一般的保護を享有する。被攻撃側も人口密集地域に軍事目標の設置を避ける等の予防措置を講ずることが要請される。なお,軍需工場内の工員等軍事目標中にある人は準戦闘員とも呼ばれ,その目標攻撃による被害を受忍せざるをえないが,軍事目標の外にあるときは非戦闘員とみなされる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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