国家に適用すれば、戦争行為と同義語である。1907年の「開戦に関する条約」は、締約国が理由を付した開戦宣言の形式または開戦宣言を含む最後通牒(つうちょう)の形式を有する明瞭(めいりょう)かつ事前の通告なくして、その相互間に戦争すなわち敵対行為を開始するのを禁止した。国際連合憲章は国際関係における武力行使のみならず武力による威嚇をも禁止する(2条4項)から、右条約の存在意義は今日ほとんど認められない。
敵対行為の内容は、戦争において戦闘員により害敵手段を行使して行われる害敵行為である。害敵行為の合法性は戦争法により規律され、1907年ハーグ陸戦規則は「交戦者ハ害敵手段ノ選択ニ付、無制限ノ権利ヲ有スルモノニ非(あら)ス」(22条)と定めた。
[藤田久一]