戯作文学

山川 日本史小辞典 改訂新版 「戯作文学」の解説

戯作文学
げさくぶんがく

江戸を中心として近世後半期に制作された遊戯的散文作品の総称。談義本・洒落本黄表紙・合巻(ごうかん)・滑稽本・人情本などを含む。狂歌狂詩など韻文系統には用いない。享保期頃から知識人たちが趣味的な立場を堅持しつつ俗文芸にかかわる風潮がうまれ,彼らはみずからの作,および所行に「戯」の字を冠することによって,それが非本来的なものであるという意識を表現した。これらは世間にうけいれられ,出版書肆の経営を支える有力な出版物となるが,寛政の改革の影響による武士作家の退陣で,担い手町人や下級武士へと変わり,書肆主導の生産体制が強まる。以後,より通俗的な作品が幕末期まで刊行された。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android