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狂詩 きょうし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

狂詩
きょうし

漢詩の体にならい,日本で行われた,滑稽を主とする狂体の詩。古くは室町時代に一休の『狂雲集』があるが,盛んになったのは江戸時代。享保年間に『十番詩合』などがあり,明和以後は狂歌と並んで盛行した。京都に銅脈山人,江戸に寝惚 (ねぼけ) 先生 (大田南畝 ) が出て東西相応じ,2人の作を集めたものに『二大家風雅』 (1790) がある。以後,上方に安穴 (あんけつ) 道人,愚仏先生,兆載坊,雲輔,江戸に方外道人,半可山人らが輩出した。特に方外道人と半可山人は,平仄 (ひょうそく) を厳格にし,かつ用語は平易にして,狂詩の体を整えた。明治以後も成島柳北らにより一時流行したが,現在は姿を消した。

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デジタル大辞泉の解説

きょう‐し〔キヤウ‐〕【狂詩】

江戸中期以後に流行した、こっけいを主とする漢詩体の詩。押韻・平仄(ひょうそく)など漢詩作法に従いながら、俗語卑語を多用した。銅脈先生(畠中正盈)・寝惚先生(大田南畝)らが代表的作者。

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世界大百科事典 第2版の解説

きょうし【狂詩】

江戸中期から盛んになり,明治中期まで行われた滑稽文学の一種。外見は漢詩そのままであるが,正規の漢詩には取り上げられることのない卑俗滑稽な素材を詠じ,表現も漢字の本来の意味を無視した当て字や,強引なこじつけの訓読をわざと用いる。固苦しい漢文口調という形式と,卑俗滑稽な内容との矛盾が生み出すおかしさをねらった文学である。滑稽なことを詠ずる漢詩は平安時代からあり,漢詩の興隆した江戸中期になると漢詩人の手すさびとしてかなり作られるようになった。

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大辞林 第三版の解説

きょうし【狂詩】

江戸中期以後流行した、漢詩体の滑稽・洒脱を主とした詩。卑近な俗情を、漢詩形式に仕立てたもので、当時知識人の間に広まっていた文人趣味を背景としている。江戸の寝惚ねぼけ先生(蜀山人)、京都の銅脈先生(畠中観斎)が代表的作者。 → 狂文

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

狂詩
きょうし

江戸中期から明治にかけて行われた滑稽(こっけい)文学。漢詩の様式で俗語俗訓を用い、人間や社会の卑俗な面をおかしく詠じるもの。古くから行われていたが、宝暦(ほうれき)(1751~64)ごろになると狂詩集も出て文芸の一様式と認められた。1767年(明和4)江戸で寝惚(ねぼけ)(大田南畝(なんぽ))の『寝惚先生文集』が出、2年後に京都で銅脈(畠中観斎(はたなかかんさい))の『太平楽府(たいへいがふ)』が出、ともに10代ということで世評高く、天明(てんめい)・寛政(かんせい)期(1781~1801)まで東西の両大家として活動した。前者には才気溌剌(はつらつ)の『通詩選』『檀那山人芸舎集(だんなさんじんげいしゃしゅう)』などがあり、後者は風刺を特色として『吹寄蒙求(もうぎゅう)』『太平遺響』などがあって、狂詩の流行をおこした。文化・文政(ぶんかぶんせい)期(1804~30)には京都の安穴(あんけつ)先生(中島棕隠(そういん))の『太平新曲』が周囲に同好者を集めて二曲、三曲と重ね、江戸では天保(てんぽう)年中(1830~44)に方外道人(ほうがいどうじん)(木下梅庵(ばいあん))の『江戸名物詩』がよく知られ、半可山人(植木玉(ぎょくがい))の『半可山人詩鈔(しょう)』は平仄(ひょうそく)や押韻も正しく、狂詩の第一人者と評された。そして幕末から明治にかけては成島柳北(なるしまりゅうほく)を中心になお流行が続いた。
 実例として、半可山人の「顔見世呈三升先生」を引く。「柿色素袍花道長、舞台鎮返暫之場、請看荒事氏神様、日本市川団十郎」。[浜田義一郎]

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世界大百科事典内の狂詩の言及

【パロディ】より

…戯文,もじり詩文,狂詩などの訳語をあてる。語源はギリシア語parōidiaで,para(擬似)+ōidē(歌)を意味する。…

※「狂詩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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