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所有者抵当 しょゆうしゃていとうEigentümerhypothek

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

所有者抵当
しょゆうしゃていとう
Eigentümerhypothek

所有者みずから自分の所有物のうえに抵当権をもつこと。物の交換価値を把握する権利としての抵当権を独立の存在と考える近代的抵当権制度のもとではこの所有者抵当が肯定され,ドイツ民法では,たとえば抵当権者が抵当権を放棄したときはその順位の抵当権を所有者みずから取得するといったことなどが認められている。しかし,日本では所有者抵当の制度は存在しない。すなわち,抵当権は債権の存在を前提とする他物権 (付従性があるもの) とされ,その結果,抵当権と所有権が同一人に帰属すれば抵当権は混同によって消滅し,またその場合に後順位抵当権があればその順位が上昇することを原則とする。そして混同の例外として抵当権が消滅しないわずかな例外 (たとえば,Bの土地に1番抵当権をもつAが抵当債権とは無関係に上の土地を取得し,しかも後順位抵当権者がいるとき) を除いて,所有者が抵当権をもつことはない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

所有者抵当
しょゆうしゃていとう
Eigentmerhypothekドイツ語

不動産所有者が自己所有の不動産のうえに自ら抵当権をもつこと。債務者甲が債権者乙・丙のために自己所有の不動産にそれぞれ一番抵当権・二番抵当権を設定している場合に、甲が一番抵当権者乙に対して債務を弁済すると、所有者抵当を認める制度のもとでは、甲自身が一番抵当権者となり、丙は依然として二番抵当権者にとどまる。甲は自己が有する一番抵当権を利用して再度金融を得ることができるわけである。これが所有者抵当の重要な機能の一つである。これはドイツ民法の認めた近代抵当権の一特質であるが、日本の民法ではこの制度はとられていない。日本では、乙が弁済を受けると、乙の債権とともに一番抵当権は当然に消滅し、丙の二番抵当権が一番抵当権に昇格する。所有者抵当のほうが合理的であるとして、これを認めるべきだという意見もある。[高橋康之・野澤正充]

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