所郁太郎(読み)ところいくたろう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「所郁太郎」の意味・わかりやすい解説

所郁太郎
ところいくたろう
(1838―1865)

幕末期の長州藩諸隊医官の長。美濃(みの)国(岐阜県)不破(ふわ)郡赤坂村商人矢橋亦一(やばしまたいち)の四男。大野郡西方村医師所伊織(いおり)の養子。加納藩医青木松軒に医術を学び、のち京都で勉学、さらに大坂緒方洪庵(こうあん)の適塾で西洋医学を学ぶ。京都で開業中長州藩志士と交流し、1863年(文久3)の政変で長州藩に亡命。やがて諸隊結成とともに隊医となり活躍。翌64年井上馨(かおる)暗殺未遂時、治療にあたり井上の一命を取り留める。その翌年内訌(ないこう)戦時に吉敷(よしき)で病死。28歳。

[広田暢久]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「所郁太郎」の解説

所郁太郎 ところ-いくたろう

1838-1865 幕末の尊攘(そんじょう)運動家,蘭方医
天保(てんぽう)9年2月16日生まれ。緒方洪庵(こうあん)にまなび,京都で開業。のち萩(はぎ)藩の京都藩邸医院総督となる。文久3年の八月十八日の政変後,長州にいき遊撃隊医長。高杉晋作の下関挙兵にしたがうが,元治(げんじ)2年3月12日陣中で病没。28歳。美濃(みの)(岐阜県)出身。本姓は矢橋。名は直則。変名は石川春斎。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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