改訂新版 世界大百科事典 「手取植物群」の意味・わかりやすい解説
手取植物群 (てとりしょくぶつぐん)
〈てどり〉とも読む。長野,岐阜,富山,石川,福井各県にまたがって広く分布する,上部ジュラ系~下部白亜系手取累層群(1億7000万~9600万年前)に含まれる化石植物の総称。この植物群は,はじめ1877年,H.T.ガイラーによって研究された。ガイラーが研究に用いた標本は,石川県白山市の旧白峰村桑島の手取川右岸の通称“化石壁”から,J.J.ラインによって採集されたものである。
手取植物群は,藻植物1種,蘚苔植物1種,トクサ類2種,シダ類42種,シダ種子類2種,ソテツ類31種,イチョウ類11種,チェカノフスキア類4種,球果類17種,その他2種からなり,タカワラビ科のシダ,イチョウや広葉球果の類が優勢の植物群である。その組成は,シベリアのレナ川およびその支流域,コリマ川流域および中国東北部に広く分布する同時期の植物群の組成に近く,ほぼ同時期の南方型の領石植物群の組成とは著しく異なる。
執筆者:木村 達明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報