改訂新版 世界大百科事典 「領石植物群」の意味・わかりやすい解説
領石植物群 (りょうせきしょくぶつぐん)
日本外帯の岩手,宮城,福島,千葉,埼玉,群馬,山梨,長野,三重,和歌山,徳島,高知,熊本各県に分布する上部ジュラ系~下部白亜系(1億6000万~9600万年前)に含まれる化石植物の総称で,正確には領石型植物群というべきである。領石は,高知県南国市の一地名に由来する。この植物群に関する最初の研究は,1890年スウェーデンの地質学者ナトホルストAlfred Gabriel Nathorst(1850-1921)によって行われた。
この型の植物群は,トクサ類,シダ類,シダ種子類,ソテツ類および球果類からなる。シダ類ではマトニア科に属するシダが優勢で,タカワラビ科に属するシダやイチョウ,チェカノフスキア,針葉球果の類はきわめてまれである。またほぼ同時期の手取植物群と共通する種はきわめて少ない。
領石型植物群の組成は,当時の熱帯~亜熱帯域に広く知られているヨーロッパの白亜紀初期のウィールデンWealden型植物群の組成と一致する。
執筆者:木村 達明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報