手摺(読み)てすり

精選版 日本国語大辞典 「手摺」の意味・読み・例文・類語

て‐すり【手摺】

〘名〙
① (すがって手で摺(す)るものの意) 橋や回廊などの欄干の上や、階段にそって壁にとりつけた横木や柵。
※諸国風俗問状答(19C前)三河国吉田領風俗問状答「神楽あり。〈略〉鼻高と云物出来りて、拝殿に至て拝し終て手摺の中に入る」
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初「階子(はしご)の手(テ)すりの際に寄せありし衝たてを」
② (「てずり」「ですり」とも) 人形芝居の舞台前面に、人形遣いの腰から下を隠すために設けたしきり。舞台から客席まで三段にしきられ奥から(現在では手前から)一の手(本手)・二の手・三の手と呼ぶ。
※俳諧・芭蕉真蹟懐紙‐時節嘸歌仙(1676)「雨や黒茶を染て行覧〈芭蕉〉 消残る手摺の幕の夕日影〈杉風〉」
随筆・本朝世事談綺(1733)三「辰松は人形に手練し、上下を着し、手摺(デスリ)をはなれて」
③ 転じて、人形芝居、または人形遣い。
浮世草子・当世芝居気質(1777)一「さうかたっては人形がつかはれぬ、きつい下手じゃと手摺(テズリ)からくい立る」
滑稽本浮世床(1813‐23)二「づるかぢり(さみせんひき)や、手すり(人形つかひ)へ廻って」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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