精選版 日本国語大辞典 「手摺」の意味・読み・例文・類語
て‐すり【手摺】
- 〘 名詞 〙
- ① ( すがって手で摺(す)るものの意 ) 橋や回廊などの欄干の上や、階段にそって壁にとりつけた横木や柵。
- ② ( 「てずり」「ですり」とも ) 人形芝居の舞台前面に、人形遣いの腰から下を隠すために設けたしきり。舞台から客席まで三段にしきられ奥から(現在では手前から)一の手(本手)・二の手・三の手と呼ぶ。
- [初出の実例]「雨や黒茶を染て行覧〈芭蕉〉 消残る手摺の幕の夕日影〈杉風〉」(出典:俳諧・芭蕉真蹟懐紙‐時節嘸歌仙(1676))
- 「辰松は人形に手練し、上下を着し、手摺(デスリ)をはなれて」(出典:随筆・本朝世事談綺(1733)三)
- ③ 転じて、人形芝居、または人形遣い。
- [初出の実例]「さうかたっては人形がつかはれぬ、きつい下手じゃと手摺(テズリ)からくい立る」(出典:浮世草子・当世芝居気質(1777)一)
- 「づるかぢり(さみせんひき)や、手すり(人形つかひ)へ廻って」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)二)