打ち傾く(読み)ウチカタブク

デジタル大辞泉 「打ち傾く」の意味・読み・例文・類語

うち‐かたぶ・く【打ち傾く】

[動カ四]
首を傾けて不審そうなようすをする。
稚児ちごの、目に髪の覆へるをかきはやらで、―・きて物など見たるも、うつくし」〈・一五一〉
樹木などが、傾く。
「雨いたく降り、東風こちかぜはげしく吹きて、一筋二筋、―・きたれば」〈かげろふ・中〉
[動カ下二]一方に傾ける。斜めになるようにする。
「頼盛もかぶとを―・け―・け、あひしらはれければ」〈古活字本平治・中〉

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精選版 日本国語大辞典 「打ち傾く」の意味・読み・例文・類語

うち‐かたぶ・く【打傾】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 ( 「うち」は接頭語 )
    1. 斜めになる。横へ倒れかかる。首が傾く。うちかたむく。
      1. [初出の実例]「雨いたくふり、こち風はげしくふきて、ひとすぢふたすぢ、うちかたぶきたれば」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
    2. 首をひょいとかしげて不審な様子をする。不思議がる。また、考える。思案する。うちかたむく。
      1. [初出の実例]「このつかふ女、ものくはせなど〈略〉いできて、うちかたぶきてみていふやう」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
    1. ( 「うち」は接頭語 ) 一方に傾ける。斜めになるようにする。うちかたむく。
      1. [初出の実例]「頼盛も甲を打かたぶけ打かたぶけ、あひしらはれければ」(出典:平治物語(1220頃か)中)
    2. 滅ぼす。くつがえす。

うち‐かたむ・く【打傾】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行四段活用 〙うちかたぶく(打傾)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「半月の山のはに、打ちかたむいて」(出典:車屋本謡曲・松山鏡(1539頃))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
    1. うちかたぶく(打傾)[ 二 ]
      1. [初出の実例]「顔打傾(カタム)けたれば」(出典太平記(14C後)一八)
    2. うちかたぶく(打傾)[ 二 ]
      1. [初出の実例]「都へ責上り皇城を打傾(ウチカタム)けんに」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)下)

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