朝日日本歴史人物事典 「承澄」の解説
承澄
生年:元久2(1205)
鎌倉中期の天台密教の僧。事相(密教修法)の大著『阿娑縛抄』の大成者。字は極楽房。世に小川僧正とも呼ばれた。藤原師家の子。西林院承円のもとで8歳のとき得度し,次いで覚審や忠快に師事して台密を修学した。兄(叔父)の尊澄と共に,超人的な博覧強記を武器に,諸流派の事相を次々に渉猟しては記録し,得意の絵筆をふるって230巻以上にもおよぶ『阿娑縛抄』を大成した。作業は最晩年まで続いたが,かすむ老眼をこすりつつ筆を馳せると自ら書き残している。<参考文献>切畑健「阿娑縛抄 その成立と撰者承澄」(『仏教芸術』70号)
(正木晃)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報