日本大百科全書(ニッポニカ) 「投入係数」の意味・わかりやすい解説
投入係数
とうにゅうけいすう
input coefficients
産業連関分析において、特定産業の生産とそれに要する各投入要素の必要量との関係を表す数字であり、生産構造の特性を示すものである。いま、一つの経済社会の生産活動を農業と工業とに大別し、1年間にそれぞれの産業が100と200の生産額をあげたものとする。そして、その生産過程において、農業は10の農産物と20の工業製品とを用い、工業はそれぞれ20と100の投入物(原材料)を用いたとすると、農業においては、生産物一単位につき0.1の農産物と0.2の工業製品を用い、工業においては同様に0.1の農産物と0.5の工業製品とを用いたことになる。これらが各産業の投入係数である。すなわち、一般的に表現すれば、j産業が一定期間(通常1年間)の生産活動において、Xjの生産を行った場合、その過程でi産業の生産物をxijだけ投入したとすれば、この場合の投入係数aijはxij/Xjで表される。そして、経済社会がn種の産業から構成されているとすると、(a1j、a2j、……、anj)はj産業の生産構造を表すことになる。このような係数をn種の産業の全部についてまとめて表示した表は、投入係数表input coefficient tableとよばれ、投入産出分析における基本表としての役割を果たす。
[高島 忠]