どのような社会においても人間は自然に働きかけて自然を合目的的に変化させ、人間が生きていくのに必要な物質的財貨を生産しなければならない。こうした社会生活の基礎をなす物質的財貨の生産が生産過程である。資本主義社会においては労働生産物は商品の形態をとる。商品は使用価値と価値という二要因の統一であり、商品を生産する労働は使用価値をつくる具体的・有用的労働と価値をつくる抽象的・人間的労働の統一である。これに対応して、生産過程は労働過程と価値形成・増殖過程の統一として現れる。労働過程は、人間が労働手段を媒介として労働対象に働きかけて必要な財貨をつくりだす過程であり、生産過程の技術的・超歴史的な側面をなすものである。労働そのものと労働手段および労働対象が労働過程の三要素であり、全過程をその成果たる生産物の立場から考察すれば、労働手段と労働対象は生産手段として現象し、労働そのものは生産的労働として現象する。資本主義社会においては、こうした労働過程は資本の運動によって包摂されている。そのため、労働過程は生産手段を所有する資本家による労働力の消費過程として行われ、労働者は資本家の統制のもとで労働すると同時に、労働生産物はすべて資本家の所有物となる。ここでは、使用価値はそれ自身のために生産されるのではなく、商品交換を目的として交換価値の担い手としてのみ生産される。しかも、単に価値を形成するだけではなく、資本価値を増殖することが目的で生産される。この価値増殖は労働力商品の独自な使用価値、すなわち価値の源泉であり、しかもそれ自身の有するよりも大きな価値の源泉であるという独自な使用価値の消費によって達成される。資本制的生産過程は、このような労働過程と価値増殖過程との統一である。なお、資本制的生産過程は、流通過程と区別して直接的生産過程という言い方をする場合もある。
[二瓶 敏]
…また生産は時間を要する過程である。生産が完了するまでのあいだ,生産過程のなかには仕掛品が残存する。そして生産はほとんどの場合労働を必要とする過程でもあるから,生産が完了するまでのあいだ労働を支える生存資料の蓄積が必要である。…
※「生産過程」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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