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産業連関分析

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

産業連関分析

1930年代にアメリカのノーベル経済学者W.W.Leontief(レオンチェフ)によって生み出された理論で、資本主義経済における再生産過程に関する分析のこと。経済予測、経済政策効果の測定、総合経済計画における計画値の矛盾性の発見およびその修正、失業救済政策の立案などに用いられている。産業連関表という分析表を用い、各産業の生産が他の産業にどれだけ投資されているかを記し、その計で生産高と投資高のバランスを見る。

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百科事典マイペディアの解説

産業連関分析【さんぎょうれんかんぶんせき】

投入産出分析とも。国民経済を幾つかの産業部門に分割して各部門の投入と産出の相互関係を示した表(産業連関表)を用いて国民経済の構造や変動を分析しようとするもの。レオンチエフによって考案された(1941年)。
→関連項目計量経済学国民経済計算

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

産業連関分析
さんぎょうれんかんぶんせき
inter-industry analysis

投入産出分析 input-output analysisともいう。各産業間の投入-産出関係を利用することによって,一国の経済構造内における生産,雇用,価格の決定および全体としての生産量の決定,予測などの実証分析を行うこと。産業連関表は,各財の投入と産出の関係に着目し,ある財の生産水準の増減が各産業の生産水準に波及する経路を明らかにした表である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

産業連関分析
さんぎょうれんかんぶんせき
interindustry analysis

産業連関表とそれに関連した生産構造についての基本的な仮定に基づいて、国民経済の生産活動の側面を産業のレベルにおいて分析するものであり、特定需要目標を達成するために要請される各産業での生産水準の算出、産業間での量的相互依存関係、価格の波及過程の分析などにとくに有効である。そのため、経済構造の分析、産業政策や経済政策の立案、経済予測、経済計画などに広く用いられる分析手法となっている。投入産出分析input-output analysisともよばれる。[高島 忠]

基本的仮定

産業連関表として構成される国民経済のモデルは次のような構造となっている。すなわち、産業はそれぞれの経済活動の内容によって区分された多数部門から構成される。その各部門のもつ生産技術的構造は投入係数行列の各列の数値(列ベクトル)によって表される。投入係数行列のi行・j列の要素をaijと書くと、これは、部門jが1単位の生産物を生産するのに部門iで生産された生産物をどれほど必要とするかを表している。すなわち、投入係数は特定産業部門(いまの場合は産業j)の生産技術構造を意味するとともに、他産業(いまの場合は産業i)との生産技術的関連をも表すことになる。
 この投入係数行列を中心に展開される産業連関分析の基本モデルにおいては、一般に次のような仮定(理論的前提)が置かれる。(1)各産業部門の生産物は1種類のみである(結合生産物は存在しない)、(2)各産業部門の産出物の種類はすべて異なっている、(3)各産業部門が2種類以上の投入財を必要とする場合、それらの間での代替の可能性はまったく存在しない、(4)各産業部門の生産関数は規模に関して収穫不変である。とくに(3)(4)の仮定は産業連関分析のもつ理論的枠組みの際だった特徴であって、分析期間を通じて生産の技術的構造は変化しないという内容をもつものであり、この手法を実証分析に適用する際には、しばしば特別の考慮が必要とされる点となる。[高島 忠]

分析手法

産業連関表をもっとも簡単な形で表示したものがである。たとえば、X12は産業2がX2の生産をするのに産業1の生産物を中間需要(原材料)としてどれほど購入したかを示すものであり、C1は産業1の生産物が消費や投資などの最終需要としてどれほど販売されたかを示している。また、L0はこのような生産活動に従事した労働の総量であり、L01L02はそれぞれ産業1、産業2の生産に従事した労働量である。すなわち、こうして見ていくと、国民経済のある一定期間における生産に関する需要と供給の全構造が把握されるわけである。そして、これらの数量の間には、各財とサービスの需要と供給は均等であることから、次の式で表される関係のあることがわかる。
 X11X12C1X1
 X21X22C2X2
 L01L02L0
 ところでX12などの中間需要は、前述の生産技術に関する基本的仮定(4)によって、投入係数とその産業の総産出量を用いて、X12=a12X2のように表すことができるから、前の2式は各産業の総産出量と最終需要量、それに投入係数のみで書き換えられる。すなわち、各産業の技術的構造を示す投入係数はすべて産業連関表からわかっているので、各産業の総産出量を未知数とする連立方程式を解くことによって、社会の必要とするある一定量の最終需要を想定した場合、それを達成するために必要な各産業の生産量をみいだすことができることになる。その計算は部門数が多くなっても、投入係数行列を基本としてつくられるある行列(投入係数行列を単位行列から差し引いてできる行列)の逆行列を用いることによって簡単に行うことができる。この逆行列は「レオンチェフ逆行列」とよばれる。また、各産業について単位量の生産に必要な労働量を示す労働係数を用いることによって、第3式から、生産物の需給関係に伴う労働力の過不足を分析することができる。さらに、それぞれの生産物について、価格と生産費の関係を同様の連立方程式として表現することにより、各生産物間の価格変動に伴う波及効果の分析を行うことも可能であり、多くの方面に産業連関分析の応用分野をみいだすことができる。[高島 忠]
『森嶋通夫著『産業連関論入門』(1956・創文社) ▽新飯田宏著『産業連関分析入門』(1978・東洋経済新報社)』

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世界大百科事典内の産業連関分析の言及

【産業構造】より

…製造工業の付加価値に占める重化学工業の割合を重化学工業化率というが,この比率は経済の発展とともに上昇する傾向がみられる。 これまでの産業構造分析が産業構成論という平面的な分析が中心であったのに対し,W.W.レオンチエフは,1941年に発表した《アメリカ経済の構造1919‐1929》のなかで,産業連関分析(〈産業連関表〉の項参照)の手法を利用して産業構造の変化を立体的にとらえようとした。産業構造という概念を明確に定義し,分析したのはレオンチエフが最初といえる。…

【レオンチエフ】より

…投入産出分析(産業連関分析)の創始者として著名な,ロシア生れのアメリカの経済学者。レニングラードに生まれ,レニングラード大学で経済学を学んだ。…

※「産業連関分析」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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