家庭医学館 「抗うつ薬中毒」の解説
こううつやくちゅうどく【抗うつ薬中毒 Antidepressant Poisoning】
うつ病(気分障害(「気分障害(躁うつ病)」))の治療薬である抗うつ薬は、神経のはたらきを活発にする物質(アドレナリンやセロトニン)の量を増やし、精神活動を盛んにする作用があります。
長期間服用することが多いため、家庭内に大量の薬がたまり、自殺目的で服用されたり、子どもがお菓子とまちがえて食べたりします。
[症状]
抗うつ薬の中毒では、けいれん、昏睡(こんすい)などの中枢神経(ちゅうすうしんけい)症状と、頻脈(ひんみゃく)、心臓の伝導障害、心室性不整脈(しんしつせいふせいみゃく)、低血圧などの循環器系の症状が中心です。
そのほか、胃腸の蠕動抑制(ぜんどうよくせい)、瞳孔拡大(どうこうかくだい)、嘔吐(おうと)、発熱か体温低下、代謝性アシドーシスなどもおこります。
[治療]
胃内に長時間、薬がとどまっているので、事故から12時間ぐらいたっていても、初期治療(「医師が行なう中毒の初期治療」)の胃洗浄を行ないます。
心臓の伝導障害があれば、フェニトインを注射します。それでも心室性不整脈が残れば、リドカインなどを注射します。けいれんがおこれば、ジアゼパムを注射します。