リドカイン(読み)りどかいん(英語表記)lidocaine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リドカイン」の意味・わかりやすい解説

リドカイン
りどかいん
lidocaine

局所麻酔剤として開発されたが、その後各種疾患に伴う不整脈の治療にも用いられるようになった。塩酸リドカイン注射液として脊椎(せきつい)麻酔、硬膜外麻酔、伝達麻酔浸潤麻酔に用いられ、また1~2%液として表面麻酔に塗布または噴霧する。歯科用には塩酸エピネフリンを配合した2%注射液がよく用いられる。外傷、熱傷、刺傷凍傷痔疾(じしつ)の疼痛(とうつう)には5%軟膏(なんこう)が用いられる。なお、不整脈には点滴静脈注射で使用される。リドカインは白色ないし微黄色の結晶または結晶性粉末で、わずかに特異臭があり、味はわずかに苦く、舌を麻痺(まひ)する。劇薬で、極量1回0.2グラム(硬膜外・伝達浸潤麻酔)および1回毎分4ミリグラム(点滴静注)。

[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リドカイン」の意味・わかりやすい解説

リドカイン
lidocain

キシロカインともいう。強力な局所麻酔薬。空気中で安定で,酸,アルカリにも安定である。作用発現が迅速,確実で,作用持続時間も長く,表面麻酔作用も強く,脊髄伝導,浸潤,表面など,各局所麻酔の麻酔薬として,各科領域で広範囲に使用される。局所麻酔作用はプロカインの2~4倍強力であり,毒性の強さはプロカインと同程度である。組織刺激作用はほとんどなく,プロカインに過敏な患者にも使用しうる。アドレナリンを併用すれば,吸収が遅延し,副作用はほとんど現れない。全身的な投与では抗不整脈作用を示し,かつ速効性なので,手術中や緊急の場合に利用されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android