家庭医学館 「抗凝固療法と納豆」の解説
こうぎょうこりょうほうとなっとう【抗凝固療法と納豆】
血液が凝固するのは、血液中の何種類もの凝固因子というたんぱくのはたらきによります。この凝固因子の多くは肝臓でつくられますが、いくつかのものはその際にビタミンKの助けを必要とします。ワーファリンは、このビタミンKのはたらきを弱めることにより、そうしたたんぱくの合成を阻害して、最終的に血液凝固を抑制します。
ワーファリンによる抗凝固療法を受けている患者さんは、豊富なビタミンKを含む食品の摂取に注意が必要です。
そのなかでも、納豆はビタミンKがとくに多い食品です。大豆(だいず)そのものにはわずかしか存在しないので、豆腐(とうふ)などにはそれほど含まれていません。納豆には、納豆を発酵させる納豆菌が付着していますが、この菌が腸管内でビタミンKを豊富に産生するのです。たとえていえば納豆は、ビタミンKの工場のようなものです。
したがって、納豆を食べると、とくに多くのビタミンKを摂取したことになります。納豆の大好きな人には、申しわけありませんが、ワーファリン治療中は摂取を控えるのが望ましいのです。