押並べて(読み)おしなべて

精選版 日本国語大辞典 「押並べて」の意味・読み・例文・類語

おしなべ‐て【押靡て・押並て】

  1. 〘 副詞 〙 ( 動詞「おしなぶ(押靡)」の連用形に助詞「て」が付いて一語化したもの )
  2. すべて一様に。皆ひとしく。総じて。
    1. [初出の実例]「そらみつ 大和の国は 押奈戸手(おしナベテ) われこそ居れ」(出典:万葉集(8C後)一・一)
    2. 「知るも知らぬもをしなべて歎かぬ人は無かりけり」(出典:太平記(14C後)六)
  3. ( 助詞「の」を伴って ) なみなみ。普通。
    1. [初出の実例]「次の対(たい)藤壺御方の親族(しぞく)達の御曹司(ざうし)、西の廊はをしなべての人の曹司」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)
  4. 全部がそうとはいえないが、大体の傾向として。おおむね。大略。「今年の米作もおしなべて豊作である」

押並べての語誌

この語の構成要素である下二段動詞「なぶ」を、「並ぶ」と見る説もある。「並ぶ」と「靡ぶ」は同根と思われるが、上代の「押しなぶ」の例は「押し靡かせて」と解することができ、そこからの連続を考えれば、「靡ぶ」と見るべきか。の「万葉集」の例でもなお「押しなびかせる」といった動詞としての意味を見てとることができる。ただし、平安時代以降は、「並ぶ」から成立したと思われる「なべて」という語も同様の意味で用いられ、副詞としては、これとの関係も考えられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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