拵え物(読み)コシラエモノ

デジタル大辞泉 「拵え物」の意味・読み・例文・類語

こしらえ‐もの〔こしらへ‐〕【×拵え物】

本物にまねて作った物。つくりもの。模造品
嫁入り道具
十五、六歳にて縁につける時の―の見事になる積もりぞかし」〈浮・万金丹・五〉

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精選版 日本国語大辞典 「拵え物」の意味・読み・例文・類語

こしらえ‐ものこしらへ‥【拵物】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ほんものをまねて作った物。にせ物。まがい物。模造品。
    1. [初出の実例]「虚言八百の正月詞、門松餝(かざり)、竹の千代万代と寿(ことぶく)も、元が根のなきこしらへもの故、常盤(ときは)の色も請合(うけあひ)がたし」(出典:談義本・風流志道軒伝(1763)二)
  3. 嫁入り道具。
    1. [初出の実例]「女子(にょし)の生れし時、それが嫁入の造用の心あてに銀子三貫目除けてをけば、十五六才にて縁につける時のこしらへものの見事になる積りぞかし」(出典:浮世草子・好色万金丹(1694)五)
  4. 歌舞伎音楽で、舞台または下座(げざ)で使う曲を新しく作曲すること。また、その曲。既存曲をそのまま使うのに対していう。
    1. [初出の実例]「アアおらアあの手が有れば芝居へ出てぶつ付け二枚目、又腹が有るから拵物はよし」(出典:滑稽本・八笑人(1820‐49)二)

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世界大百科事典(旧版)内の拵え物の言及

【小道具】より

…《菅原伝授手習鑑》の〈車引〉の牛,《一谷嫩軍記》の馬,《国性爺合戦》の虎のほか,蝦蟇(がま),ネズミなどの縫いぐるみの動物類,駕籠,御所車,輿,人力車などの乗物も小道具方の扱いである。 日常に使用しているものをそのまま使うときは〈本物〉といい,特別に作ったものは〈拵(こしら)え物〉,使い捨ての消えてしまうろうそく,煙草(たばこ),食べ物を〈消え物〉,こわすことを目的とした皿,茶碗,三宝などを〈壊れ物〉,動く動物,鼻緒が切れる履物,しおれる草花,射られた態(てい)で立つ矢など,あらかじめ仕掛けを施した道具を〈仕掛物〉と呼称している。能,狂言では歌舞伎の大道具に該当する職掌はなく,能舞台に置く塚,建物,舟や車など象徴的な据え道具は〈作り物〉,手に持つ中啓,刀,釣りざお,持ち枝などを〈小道具〉または〈手道具〉とよんでいる。…

※「拵え物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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