何処(読み)ドコ

デジタル大辞泉 「何処」の意味・読み・例文・類語

ど‐こ【処/所】

[代]《「いづこ」の音変化「いどこ」がさらに変化した語》不定称の指示代名詞。はっきりと指示できない場所状況などをさす。
どの場所。どの部分。どんなところ。「―へ行こうか」「―が悪かったのか」
どのような程度。どのような段階。どれ程。「―まで本気なのか」「仕事は―まで進んでいるのか」「―も痛くない」
[類語]いずこどこらどこいらどの辺どこやらいずかたどちらいずれどっちどこかどこそこ某所某地

いず‐こ〔いづ‐〕【処】

[代]《「いずく」の音変化で、平安時代以降の語》不定称の指示代名詞。どこ。
「むかしの光いま―」〈晩翠荒城の月
[類語]どこどこそこどこらどこいらどの辺どこやらいずかたどちらいずれどっちどこか某所某地

いず‐く〔いづ‐〕【処】

[代]《「いずこ」の古形》不定称の指示代名詞。どこ。
「―より来りしものそ」〈・八〇二〉

いど‐こ【処】

[代]《「いずこ」の音変化》「どこ」の古形。
「ここや―と問ひければ」〈土佐

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「何処」の意味・読み・例文・類語

いず‐こいづ‥【何処】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 「いずく」の変化した語 ) 不定称。場所を表わす。平安時代から用いられた。どこ。
    1. [初出の実例]「本 この杖は 伊津古(イつコ)の杖ぞ 天にます 豊岡姫の 宮の杖なり」(出典神楽歌(9C後)採物)
    2. 「いづこより来たる。あやしき男也」(出典:読本・春雨物語(1808)樊噲上)

何処の語誌

和文資料では場所を問う用法に限定されるが、平安期の訓点資料には「いづくにか・いづこにか・いづくにぞ・いづこにぞ」のような形で、理由を問う用法が現われる。特に「ぞ」を伴う形には場所を問う用法はなく、「いづくんぞ」などの訓点語を生みだした。


いず‐くいづ‥【何処】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 「く」は場所を表わす接尾語 ) 不定称。場所を表わす。「いづこ」の古形だが、平安時代以後も併用された。どこ。
    1. [初出の実例]「この蟹や 伊豆久(イヅク)の蟹 ももづたふ 角鹿(つぬが)の蟹 横去らふ 伊豆久(イヅク)に到る」(出典:古事記(712)中・歌謡)
    2. 「『いづくへも立退かん』ト打ちつれ出でんとしたりしが」(出典:歌舞伎・傾城仏の原(1699)二)

ど‐こ【何処・何所】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 「いずこ」から転じた「いどこ」がさらに変化した語 ) 不定称。場所をさす。どのところ。
    1. [初出の実例]「何(トコ)にか往き何より来りて誰が家に宿る」(出典:将門記承徳三年点(1099))

いど‐こ【何処】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 「いづこ」の変化したもの ) 不定称。「どこ」の古形。
    1. [初出の実例]「『ここやいどこ』ととひければ、『とさのとまり』といひけり」(出典:三条西家本土左(935頃)承平五年一月二九日)

どっ‐こ【何処】

  1. 〘 代名詞詞 〙 「どこ(何処)」を強めた、俗ないい方。
    1. [初出の実例]「とっこまでも遠く行んず」(出典:杜詩続翠抄(1439頃)七)

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普及版 字通 「何処」の読み・字形・画数・意味

【何処】いず(づ)こ

どこ。唐・杜甫〔牛頭寺に上る〕詩 何れの處か、鶯(あうてい)切(しき)りなり 時を移して獨り未だ休(や)まず

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