(読み)せせる

精選版 日本国語大辞典 「挵」の意味・読み・例文・類語

せせ・る【挵】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
  2. つつく。いじる。ほじる。つついて掘る。また、食物をつつくようにして食べる。餌(えさ)をついばむ。
    1. [初出の実例]「ミミ、または、ハナヲ xexeru(セセル)」(出典日葡辞書(1603‐04))
    2. 「柳之助は怫然(むっつり)として返事もせずに、鉢の物を撈(セセ)ってゐる」(出典:多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前)
  3. (虫などが)あちこちを刺す。噛(か)む。
    1. [初出の実例]「アリ ハイガ ムラガッテ xexeru(セセル) ホドニ」(出典:天草本伊曾保(1593)狼と狐の事)
    2. 「蚤・蚊にせせられて眠らず」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)飯坂)
  4. もてあそぶ。からかう。ちょっかいをかける。
    1. [初出の実例]「公主をせせりはらたたせて、公叔を軽(あなつら)せて」(出典:史記抄(1477)一一)
    2. 「とろとろと寝よとすりゃ後からせせるやら、前から毛のはへた大きな足をつき出すやら」(出典:浄瑠璃・長町女腹切(1712頃)上)
  5. 侵略する。侵す。
    1. [初出の実例]「小松の城をせせりなば、味方せいを引き入るべし」(出典:諸家前太平記(1716)一〇)
  6. 細かい点まで責めとがめる。いじめる。
    1. [初出の実例]「痛く責めければ遂に狐に成て有けるを、続松(ついまつ)の火を以て毛も无(な)くせせるせせる焼て」(出典:今昔物語集(1120頃か)二七)
  7. 品物などをあれこれ選んでもとめる。値切る。
    1. [初出の実例]「馬借ちとせせり申したる計はくるしからず候」(出典:大乗院寺社雑事記‐文明一二年(1480)一一月一三日紙背(随心院厳宝書状))

せせり【挵】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「せせる(挵)」の連用形名詞化 ) いじりまわすこと。もてあそぶこと。また、指先棒状のものなどでさぐりもとめること。また、小きざみに動かしたり進んだりすること。〔俚言集覧(1797頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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