日本大百科全書(ニッポニカ) 「掘りごたつ」の意味・わかりやすい解説
掘りごたつ
ほりごたつ
畳を切って炉をつくり、熱源を入れて櫓(やぐら)をのせ、ふとんをかぶせる和室向きの暖房装置をこたつという。畳を切らない移動式のものとしては、置きごたつや行火(あんか)がある。日本の冬季用採暖具の代表的なもので、省エネルギーからみても効率が高く、だんらんの中心として大きな役割を果たしてきた。冬季以外の季節には櫓を外して畳を敷く収納式のものもある。椅子(いす)式生活の普及に伴い、腰掛けた姿勢で使用できるように、底面を低くしたものが掘りごたつである。椅子に掛けたときと同じ姿勢になるので、疲労が少なく使いやすいため第二次世界大戦後急速に普及した。
以前は45センチメートル角のものが使われていたが、最近では90センチメートル角のものが普及してきている。熱源に電気を使用し、セットになった既製品として販売されている。従来のこたつは、背骨が丸くなって生理的にも望ましくないが、掘りごたつは、背筋が伸びて足が疲れないという利点がある。
[小原二郎]