入相、入合などとも書かれる。一定地域の住民の団体(村落)が、燃料、肥料、飼料用の草木や落ち葉の採取、ウシの放牧などを目的として、一定の山林原野(入会地)に立ち入る慣習を一般に入会といい、入り会う権利を入会権という。入会には、入会地盤の所有者がだれであるか、入会地盤を利用する権利の主体が主として村落であるか村落の住民であるかなどの点でさまざまな形態があるが、すべて慣習によって規律されるところに大きな特色がみられる。農業が自然経済中心であった時代には、入会権は農民生活の基礎をなしていたが、商品経済が浸透した今日においてもかなり重要な社会的作用をもっている。反面、統制なしに入会が行われると、土地の荒廃を招き、入会の存在が土地の開発を妨げるなどの弊害も生じやすい。また、近代的所有権の確立とともにそれとの矛盾や対抗関係をめぐって、権利の内容を規制する慣習自体も変化しつつある。これらの要因が複雑に絡み合って、入会をめぐる深刻な争いがしばしば生じている。
[高橋康之]
律令(りつりょう)以来の「山川藪沢(さんせんそうたく)之(の)利ハ公私之(これ)ヲ共ニ」するとの原則は、荘園(しょうえん)制の発展とともに崩れ、山野の私的独占が始まる。この過程で惣村(そうそん)による山野の共同利用(入会利用)がみられたが、太閤(たいこう)検地の実施に伴う村切り(村落境界の画定)は入会地の分割をも促し、近世的入会利用の基礎を築いた。しかしなんといっても入会慣行の実態を明確にうかがい知ることができるようになるのは、江戸時代以降のことである。
[飯岡正毅]
化学肥料が普及する以前、ことに江戸時代の農業生産においては、干鰯(ほしか)、鰊粕(にしんかす)、油粕などの購入肥料(金肥)と並んで、手近な山野の草(刈敷(かりしき))、海浜の海藻類は、収穫を左右する重要な肥料として利用された。また自給自足経済下の農村にあっては、山野から採取する食料(山菜、茸(きのこ)、木の実など)、家畜の飼料(秣(まぐさ))や、燃料(薪炭(しんたん))、土木建築用材、屋根萱(かや)などは、農業および農民生活を支えるうえで重要な役割を果たした。以上の必需品ともいうべき物資の供給地である山野を、個人でもつことができるのは一部の有力農民に限られたから、その他の大半の農民は、一村(村中入会)もしくは数か村から数十か村(村々入会)が共同で保持した林野を、一定の規制の下で利用するのが通例であった。このような共同の林野用益行為を入会といい、また入り会う場を入会山(入会地)とよぶが、採取物が特定化している場合には、その名を冠して刈敷場、秣場、萱場(萱野)などと称することもある。
[飯岡正毅]
入会はその実態が多種多様であるため、類別の仕方も一様でない。たとえば、権利関係に着目して本入会と稼(かせぎ)(稼方)入会に大別する方法では、本入会は同等の権利を有する集団が入り会う場合をさし、稼入会は入会地に余裕のある地元村の許諾によって他村(稼方)が入り会う行為をいう。その際、稼方は地元村に対し野銭(のせん)、野手(のて)、山手米(やまてまい)などと称する応分の代償(用益料)を納めるのが一般的であるが、まったく恩恵的に無償で入り会う関係もある。
これとは別に、入会地盤の持ち主の別によって分類すると、(1)自村持地に入り会う村中入会、(2)他村持地に入り会う他村入会、(3)複数村がその共有地に入り会う村々入会など、共同体のもつ林野に入り会うほか、(4)個人持地や(5)仲間持地、(6)領主直轄林(御林(おはやし))に入り会う例などに分けられる。さらに、村を構成する部落単位・組での(1)(2)(3)と同様の類別も可能である。
[飯岡正毅]
林野の利用をめぐっては、領主と農民との間に発生する利害の対立が領主的規制を生むとともに、農民相互の間にも過度の用益を避けるための内部規制が働いた。つまり、近世初期には、領主が自家用材および財源としての材木を確保するなどの目的で御林を設定したが、これは前述の入会農用林を囲い込む形で行われたから、それによって農民の林野用益が排除されたり、大幅な制限を受けることになったのである。また江戸時代に入って盛んに行われた新田開発は、一方で肥料の需要を増大させるにもかかわらず、開発対象地が肥料供給源である原野が多かったから、入会地の相対的減少を招く結果となった。こうした状況下で新田開発によって新たに成立した村は、入会地を手近な所にもつことができなかったので、他村より購入するか、他村の入会地に用益料を出して入山するか、あるいはまた、それより奥地に入会地を開発するよりほかなかった。とくに金肥の使用が採算にあわない場合には、これらの作業は不可欠であった。このような入会地の相対的な減少と奥地の開発過程とにおいては、他の入会集団と入会地籍の帰属および利用権をめぐる紛争(山論(さんろん))をしばしば生ずることとなり、また過大な用益による入会地の荒廃を回避するため、同一入会集団のなかでは利用規制の強化をもたらした。利用規制の多くは、採取対象(立木や薪炭、草、萱など)および期間の限定、採取用具(斧(おの)、鎌(かま)など)の種類と数量ならびに1戸当りの入会人数の制限、採取物の搬出方法(担い人夫の臨時雇い、自前・借用牛馬の利用など)の規制などであり、規制の規準にはしばしば各農民が所持する田畑の面積や、石高の多寡が用いられた。そしてこれらの掟(おきて)に違反した場合は、入山禁止や村八分などの制裁を加えられることが多かった。
[飯岡正毅]
商品経済の進展に伴い、購入肥料(搾粕(しめかす)類)の入手が容易になると、肥料源としての入会採草地はその意義を大幅に後退させることになる。とくに都市近郊の農村では、都市で消費される商品作物の栽培が盛んとなるにつれて金肥の使用は増加し、それまでの採草地は都市向けの薪炭の生産や立木(材木)の育成の場として再利用されるようになる。薪炭や材木を商品化して利益を得るにあたっては、入会地を共同で利用するより、個人の持ち分を決め、めいめいが計画的に生産するほうがより効率的であったし、また過大な入会用益による荒廃を回避する意味からも、これを分割し恒久的に私有化したり(割山(わりやま))、あるいは一定期間ごとに持ち分を割り替えるやり方(割替山(わりかえやま))が有効であったので、入会地を分割利用する地域もみられる。これらの傾向は江戸時代後期に顕著になるが、入会地全体からみればなおわずかな数で、大半の入会地は私有化されることなく地租改正を迎えた。
明治政府は地租改正作業において、宅地、耕地、林野などの土地と所有者との関係を「一地一主」の原則で整理しようとしたが、この枠に収まらない入会地は公有地に編入した。またその後の林野官民有区別作業の過程で、前述の入会地に民有地地券を発行する際、厳しい認定条件を課したため、その多くは民有の証拠不十分として官林に組み込まれた。その結果、全国各地に民有地引戻し運動を引き起こすこととなったのである。これより先、入会地籍を入会権者の代表名義にして官有地編入を免れた所もみられるが、のちにこれが転売されて入会権者たちとの間で紛争をかもす例(小繋(こつなぎ)事件)もあった。その後、太平洋戦争時まで続いた入会地利用は、戦後の化学肥料、ガスや石油、石炭などの化石燃料の普及によって急速に衰退しつつあるが、東富士演習場(静岡県)内の国有地において、東富士入会組合と防衛庁(現防衛省)との間で入会についての協定(1959年6月)が結ばれた例や、現在も北富士演習場(山梨県)における入会慣行を盾に、地元婦人団体を中心にした人々が演習場撤去を求めている例などもある。
[飯岡正毅]
入会権の法律関係は慣習によって規律され、非常に複雑である。民法は慣習によるほか、共有の性質を有する入会権には共有の規定を適用し、共有の性質を有しないものについては地役権の規定を準用すると定めている(民法263条・294条)。判例は、入会権者が入会地の所有権をもっている場合が前者に、入会地の所有権をもっていない場合が後者にあたるとしている。しかし、入会権者自身が所有権をもっている場合でも、各自は持分を有しないし、分割請求権もなく、普通の共有よりも団体的性格の強い、総有(そうゆう)であるといわれている。そして権利そのものの管理は、村落という共同体に属し、それに基づいて収益する権能だけが各住民に属するものとされる。
[高橋康之]
共同収益権の内容、範囲、方法などはすべて村落の規約または慣習によって定まり、入会権者中のある者がその範囲を越えて収益した場合や、第三者が入会権を侵害した場合には、村落自身はもちろん、他の入会権者も、その不法行為の停止や損害賠償を請求できる。入会権は登記に適せず、登記なしに第三者に対抗できると解されている。
入会権の取得はすべて慣習により、契約による取得は認めない趣旨と解されている。村落の有する入会権は、入会地の滅失または住民全員の同意によって消滅する。住民各自の収益権としての入会権は、住民としての資格を得たときに生じ、失ったときに消滅する。
[高橋康之]
入会権は今日では大きく変化しつつあり、そこに認められている共同所有の態様、その利用形態もさまざまな形に変化してきた。そこで、従来、林野の開発、高度利用を妨げていた入会地に係る権利関係の近代化を助長し、農業経営の発展に資する目的で、「入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律」(昭和41年法律126号)が制定された。この法律により、入会権を個人の所有地あるいは普通の共有地に変換することが助長されるようになった。なお、海の入会権は入漁権あるいは入会漁業権とよばれる。
[高橋康之]
『戒能通孝著『入会の研究』(1942・日本評論社)』▽『中田薫著『法制史論集2』(1928・岩波書店)』▽『平沢清人著『近世入会慣行の成立と展開』(1967・御茶の水書房)』▽『原田敏丸著『近世入会制度解体過程の研究』(1969・塙書房)』
一定地域(1部落ないし数部落)の住民が,その集団の規制にしたがって,山林原野その他の土地を共同して利用し収益する慣行をいう。民法では物権の一つとして入会権を認めており,その生成の沿革は古く,また,その態様は多岐にわたっている。
入会権は,入会集団の構成員が山林原野その他の土地において,草・落葉・薪炭材・建築材などの採取,牛馬の放牧,植林,ときには石材・貝殻などの採取を入会集団の規制にしたがって行う民法上の物権である。入会集団は,この権利を行使できる者によって構成されている共同体である。だいたい藩政時代の村,町村制施行後の部落(大字)がこれにあたるが,権利行使できない者(外から移住してきた公務員など)を含んでいたり,より小さな集団(小字など)が主体となっていたりする場合もあるので,入会集団と称することが妥当である。入会集団の規制は,構成員の資格,採取の時期・方法・量,植林のための出役,構成員のもつ権利の移転などにわたっており,これが入会権存在の指標となっている。非常にきびしいものもあり,ゆるいものもあるが,まったくなくなってしまった場合は入会権とはいえない。入会権について,天然産物だけを対象にしている説明があるが,かつてはそれが多かったとしても,現在は大部分が植林である。また,入会権を慣習法上の権利であるとする見解が多数であるが,生成の沿革はそうであっても,民法がこれを認めて,物権編のなかに規定している(263,294条)。民法は第一次的に〈各地方ノ慣習ニ従フ〉としているが,その内容が入会集団によって異なり,一律に規定することがむずかしいので,それぞれの慣習にゆだねているのであり,その根拠は民法である。したがって民法上の物権である。入会権は,物権であるから,山林原野その他の土地を直接,排他的に支配することができる。民法の教科書は,ほとんど入会権を用益物権として扱っているが,正確ではない。用益物権は他人の土地を利用する権利と説明されているが,入会権には共有の性質を有するもの(263条)と地役権の性質を有するもの(294条)とがあり,その基準は一般に,対象地が入会集団の所有に属するかそうでないかによるとされているから,共有の性質を有する入会権は,他人の土地の利用ではなく,自分の土地の利用であって,所有権の集団的行使とちがわないことになる。なお,灌漑(かんがい)用水,温泉,漁場などをそれぞれの集団の規制にしたがって利用している場合も,入会権と称せられることがあるが,権利の性質としては共通しているところがあっても,それぞれ農業水利権,温泉権,漁業権などとよばれ定着しているから,入会権をこれらに拡張する必要はないであろう。
山林原野は,農業生産および農村生活において,欠くことができなかったから,その利用関係は,どの国でも,古くから権利として生成してきた。right of common,Allemenderecht,droit usageなどと称されている。日本でも,藩政時代から入会山,野山,稼山,秣山,差図山,立合山などとよばれて,利用され,排他性も認められていた。明治以降,地租改正,地所官民有区別などの影響をうけながら,民法上の物権として認められ,一方においては,政治的・経済的・社会的諸要因によって変化・解体している。政治的要因として,林区制度,町村制,国有林野特別経営事業,部落有林野統一政策などがあげられる。部落有林野統一とは,町村制施行後,部落有林野と認められていたものを市町村がその財政的基盤として取り込もうとする政策で,これに対して,部落の住民は強く抵抗した。経済的要因は,木材の商品化にともなう林野の集中,記名共有持分の移動,それと,化学肥料・配合飼料の普及,燃料の変化などにみられる。この結果,土地の喪失をもたらし,入会権の内容は,天然産物の採取から植林に変わっていく。社会的要因は,社会の発展にともなって,一般に共同体が動揺し,崩壊にすすむなかで,入会権の指標となっている入会集団の規制がゆるんできていることにある。林業基本法にもとづく1966年の〈入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律〉は,入会権の解体をもたらすとともに,その再編成をうながしている。
これは,基準別に整理すると,つぎのとおりである。(1)入会集団が対象地を所有しているかいないかによって,共有の性質を有する入会権と地役権の性質を有する入会権とになる。対象地の所有は,形式ではなく,実質によって判断する。(2)土地の帰属主体によって,国有地入会権,公有地入会権,私有地入会権に分けられる。(3)入会集団の数によって,一部落入会権と数部落入会権になる。(4)入会権の行使にあたり差別があるかないかによって,平等入会権と差別入会権に区分される。(5)利用形態によって,共同利用形態,直轄利用形態,分轄利用形態に分類される。共同利用といっても,つねに共同で行使するわけではなく,区域を決めないで自由に利用することが多い。直轄利用は,植林の場合にとる形態である。分割利用は,各構成員に任されるが,規制はなくならない。
→入会漁場 →小繫事件 →総有 →村中入会
執筆者:小林 三衛
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入相・入合とも。一定の場所を複数の家や村が共同で利用し,利益を得ること。山野や海面の利用,また用水路の利用などに入会関係が生じた。近世では山野の入会は,農民が刈敷・秣(まぐさ)・薪や建築用材・萱などを採取したもので,村の農民全員が入り会う村中入会と複数の村が入り会う村々入会があった。農業生産の拡大にともない入会をめぐる争論が頻発した。一方,商業的農業の発達によって金肥が導入され,薪が商品化されるなどによって,入会地の利用形態が変化し,分割所持される場合も生じた。入会地は,地租改正によって官有地とされた場合が多かったが,入会関係は現在でも残存している。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
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…このような増設・増幅林を含めた御林の中には,囲い山・不入山などと称し,林内の下草(肥・飼料)や枯枝(燃料)を採ることも,木の実を拾うことも許さない山もあったが,これらを除いた大部分の御林は,〈御林下草銭,御林運上・冥加〉名目の軽租を利用者側に負担させて下草類の採収を容認した。そのようにして旧来の用益権の一部は認められたにしても,御林地積がしだいに増大することは,それだけ民用林が圧縮されることであったから,これまでその山で生活資材の家作木や薪炭材・肥飼草などを自由に採取してきた領民たちは,狭くなる一方の共用林野の用益慣行をめぐって激しい入会紛争をくり返すようになり,和解または裁決までに数年ないし数十年を要する争議も少なくなかった。 なお,幕府御林の管理経営は勘定奉行に属し,事務は直属の御林奉行が管掌したが,諸国に散在した御林の直接的な管理は現地の代官(郡代)に属した。…
…この官有林野は,このあと,89年2月制定の皇室典範にもとづき90年11月までにかけて,約360万町歩(360万ha)が御料林となり,皇室財産の重要部分を構成した。この官民有区分の強行的実施は,入会権をめぐるさまざまな紛議をのちにまで残すことになった。国有地【近藤 哲生】。…
…共同購入,共同相続などが原因となって生まれるほか,歴史的・沿革的理由によるものがほとんどである。旧村持入会地は村民の総持ちのまま明治期に引き継がれてきたが,この利用慣行に大きな影響を与えたのが,前年に公布され1889年に施行された市制,町村制であった。新たにつくられた市町村の所有に移ることを拒んだ旧村民は,それまでもってきた入会財産を,利用権をもつ権利者の共同所有に移したり,何人かの代表者の共同所有名義にしたりした。…
… 肥料は普通,田畑に毎年作付けすることが常態となり,さらに二毛作が一般化するとともに不可欠なものになる。それは村民が共同利用する入会林野から採取する灌木の若芽,草をそのまま田に入れ,あるいは家畜に飼料や敷草として入れて得られる厩肥などが主体となる。それとともに作物のわら・殻や生活のあらゆる残滓が肥料として用いられる。…
…また,寺院地主は信者が寄進した土地や開墾した田畑を小作に出すことをいう。一定の山林原野を一定の集団で共同利用することを入会(いりあい)という。村地主はこの入会を意味する。…
…ゲルマンの村落共同体の土地に対する支配が総有の典型とされている。 日本では,入会権(入会)が総有の性質を有する,といわれている。入会集団の構成員が山林原野に立ち入り,区域などを決めないで,自由に利用しているような場合は,それにあたるであろうが,入会権の内容は,経済の発展にともなって,直轄利用や分割利用に変化しており,そのなかで,持分が生じ,その移動もなされているので,いちがいに総有の性質を有するといいきれないであろう。…
…囲炉裏(いろり)で使う燃料も自家労力で調達する。これらのものを入手するためには入会(いりあい)林野が不可欠なものとして,村中で管理して利用される。 他人労働を使う第3の形態は,畿内についてみられるところで,月のうち10日,15日と働き日を決めて雇われるものであり,日割奉公人などと呼ばれる。…
…零細錯圃形態をとる耕地のうえで,用水の共同利用が行われるとき,農業に対する強い村落規制が発生する。さらに肥料が自給的な刈敷に依存する場合には,入会山(いりあいやま)の口明(くちあけ)が村全体で決定され,林野の共同利用を通して村落規制の拘束下におかれる。村を単位にした生産・生活の一環として,小農たる百姓の生産・生活が保障されている。…
… このような幕府諸藩の官設牧場に対し,他方,民間には里牧,百姓牧などがあり,おおむね村の山林原野に共同で放牧採草したが,特に一定の地を画して〈牧〉を設けることはまれであった。村の共同利用地である山林原野への共同入会放牧で,この場合はその入会放牧地が牧となる。近世に盛んに行われていた上記の諸牧も明治維新後はほとんど廃牧となったが,のち民間の事業として経営される牧場となっているものもある。…
…日本の近世期における農用林野利用の一形態。小農が自立して本百姓となり,本百姓(高持百姓)を村落構成員とする近世村落(小農村落)が成立すると,自立した本百姓の生産・生活を維持・補強するために,村落構成員(本百姓)のすべてが村落規制のもとにある入会地(刈敷山(かりしきやま),柴山,秣場(まぐさば),萱場(かやば)など)に対して共同の利用権を持つ。このような農用林野の利用形態が村中入会で,林野に対する近世領主権の支配の確立と,そのもとにおける小農の本百姓への自立とをまって,はじめて成立する。…
※「入会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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