改作所旧記(読み)かいさくしよきゆうき

日本歴史地名大系 「改作所旧記」の解説

改作所旧記
かいさくしよきゆうき

一六巻一八冊

別称 高沢録 高沢平次右衛門忠順編著

写本 県立図書館・加越能文庫

解説 改作仕法は加賀藩農政の基本制度であった。改作仕法を所管する役所が改作所で、改作奉行が置かれた。本書は明和―安永年間に改作奉行・郡奉行などを勤めた高沢平次右衛門が、改作所に保存されていた達書・留書などのうちから万治元年―享保七年の記事を約二千六〇〇件抽出し、年代順に編集したもの。平次右衛門が収集したものを福留村六郎左衛門が編集整理したといわれる。改作仕法の完成から変革期にかけての史料が収録されるので、改作体制の研究や加賀藩の農業・産業史研究には不可欠の史料。付録として五編が収録される。「改作方覚書」は初めて十村を設置した時の概要などの雑録。「改作起本」は改作仕法施行前後の状況の聞書集。「改作枢要記録」は高沢の著作とされ、別称「高沢税賦考」。藩政時代初期からの年貢収納状況の変遷を説明し、改作仕法の施行成就は善政であったが、その後武士町人農民奢侈に流れ、改作仕法の精神を誤り財政も乱れてきたと批判し、改作仕法の精神を忘れることのないように説いたもの。「老婆鮒の煎物」は前書の趣旨をより強い調子で述べたもので、高沢の著作といわれる。「年代摘要」も高沢の著作で、「改作所旧記目録」とも称される。旧記の肝要な事項標目集であり、かつ旧記の記述より二六年後の寛延元年までを編年体に標目を付けるので「年代摘要」(加賀司農庁年代摘要)とするのが妥当とされる。

活字本 加賀能登郷土図書叢刊五期・日本経済大典第二三(「高沢税賦考」「改作枢要記録」のみ)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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