編年体(読み)ヘンネンタイ

世界大百科事典 第2版の解説

へんねんたい【編年体 biān nián tǐ】

中国における歴史叙述の形式の一つで,紀伝体,紀事本末体と併せて史の三体という。司馬遷が紀伝体を創出する以前の史書に用いられた,年を追って事件を記すいわゆる年代記の形式である。そのため《隋書》経籍志では編年体の史書を史部古史類に分類するのであって,古史の体ともいう。編年体の書は《春秋》《資治通鑑(しじつがん)》に代表される。中国には,西暦やイスラム暦のような統一的な年代表記法がないため,2朝以上が併存する時代を記録するにはいずれかの王朝を正統と認めねばならず,編年体の史書に示される正統論は,日本でも水戸藩の《大日本史》などに大きな影響を与えた。

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大辞林 第三版の解説

へんねんたい【編年体】

歴史記述の一形式。年代の順を追って記述するもので、中国では「春秋」に始まる。日本では「日本書紀」「日本政紀」などがこの形式。 → 紀伝体紀事本末体

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

編年体
へんねんたい

史実の展開や人物の事績を時を追って記す年代記であり、歴史叙述の形式としてはもっとも伝統的、かつ普遍的なもの。中国でも起源が古く、孔子(こうし)の著作といわれる『春秋(しゅんじゅう)』、その注釈書の一つ『春秋左氏伝(さしでん)』、また『前漢紀(ぜんかんき)』『後漢紀(ごかんき)』などがある。『史記(しき)』以後、正史は紀伝体(きでんたい)で記されることになったが、紀(本紀(ほんぎ)、帝紀(ていき))もまた編年体である。北宋(ほくそう)の司馬光撰(しばこうせん)『資治通鑑(しじつがん)』(294巻)はもっとも優れた編年史であり、周代から五代(ごだい)末までのことを記す。このあとを続けた編年史としては、南宋の李(りとう)撰『続(ぞく)資治通鑑長編(ちょうへん)』(60巻)、清(しん)の徐乾学(じょけんがく)ら撰『資治通鑑後編』(184巻)などがある。[尾形 勇]

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世界大百科事典内の編年体の言及

【通鑑紀事本末】より

…司馬光の《資治通鑑(しじつがん)》をいったん解体し,戦国時代から五代に至る1362年間の歴史を239篇の〈事〉(歴史事象,できごと)に再編成し,それぞれの本末(てんまつ)を記したもの。もともと中国の歴史記述の様式には紀伝体と編年体があるが,前者は各パートが独立しているため,同一の〈事〉が重複して現れることがあるし,後者は時間が主で〈事〉が従であるため,複数の〈事〉が並行して記述されたり,ひとつの〈事〉がしばしば寸断される結果,〈事〉をひとまとまりとしてとらえがたいという欠点がある。袁枢はここに第三のスタイルとして紀事本末体を創案し,その克服を図ったのである。…

※「編年体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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