日本大百科全書(ニッポニカ) 「改革派知事」の意味・わかりやすい解説
改革派知事
かいかくはちじ
地方分権を掲げ、政府にさまざまな改革を要求した知事の総称。地方への権限・税財源の移譲、情報公開の徹底、マニフェスト(公約)提示型選挙、公共事業の入札改革などに取り組んだ。宮城県知事浅野史郎(しろう)(1948― 、在任1993~2005)、岐阜県知事梶原拓(かじわらひろむ)(1933― 、在任1989~2005)、三重県知事北川正恭(まさやす)(1944― 、在任1995~2003)、岩手県知事増田寛也(ひろや)(1951― 、在任1995~2007)、高知県知事橋本大二郎(だいじろう)(1947― 、在任1991~2007)らが改革派知事の代表といえる。
1998年(平成10)、東大教授(当時)月尾嘉男(つきおよしお)(1942― )の呼びかけで発足した「地域から変わる日本」推進会議(のちに地域自立戦略会議)のメンバーが母体。梶原拓知事が2003年に全国知事会会長に就任後、「闘う知事会議」を標榜(ひょうぼう)。当時の和歌山県知事木村良樹(きむらよしき)(1952― 、在任2000~2006)、鳥取県知事片山善博(かたやまよしひろ)(1951― 、在任1999~2007)らも加わり、霞が関への陳情型政治から脱皮し、国と地方の税財源改革(三位(さんみ)一体の改革)を主導した。
その後、宮崎県知事東国原英夫(ひがしこくばるひでお)(1957― 、在任2007~2011)はじめ、大阪府知事橋下徹(はしもととおる)(1969― 、在任2008~2011)、千葉県知事森田健作(1949― 、在任2009~ )ら就任前からタレント活動などで知名度の高かった知事が登場。地域活性化や地方行財政改革の必要性を説いて当選した。
一方、増田寛也は2007~2008年に総務大臣を務め、2003年に早大教授となった北川正恭は「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」(略称せんたく)を立ち上げた。せんたくには東国原知事らも加わっており、改革派知事の流れは変容しながらも知名度の高い第2世代へ受け継がれたとの指摘もある。
[編集部]