地域再生法(読み)チイキサイセイホウ

デジタル大辞泉 「地域再生法」の意味・読み・例文・類語

ちいきさいせい‐ほう〔チヰキサイセイハフ〕【地域再生法】

地域経済活性化地域における雇用機会の創出など、地方公共団体の自主的・自立的な取り組みによって、地域の活力の再生を総合的かつ効果的に推進することを目的とする法律。平成17年(2005)制定。→地方創生法

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共同通信ニュース用語解説 「地域再生法」の解説

地域再生法

地方自治体による経済活性化や雇用創出などの取り組みを支援しようと、2005年に制定された。都道府県市区町村企業などと連携して具体的な事業内容を盛り込んだ「地域再生計画」を作成し、国に認定されれば、交付金支給や税制優遇が受けられる。道路整備や観光振興といった幅広い事業が対象となる。今年3月末までに計1989件の計画が認定された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地域再生法」の意味・わかりやすい解説

地域再生法
ちいきさいせいほう

持続可能な地域再生を促進するための法律。近年における急速な少子高齢化進展産業構造の変化等の社会経済情勢の変化に対応して、地方公共団体が行う自主的かつ自立的な取組みによる地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出その他の地域の活力の再生を総合的かつ効果的に推進していくために、所要の措置を講じ、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現し、国民経済の健全な発展および国民生活の向上に寄与することを目的として、2005年(平成17)4月1日から施行された。平成17年法律第24号。

 本法がねらいとしている地域再生とは、困難な状況に直面している地域を、従来のように国が一方的に支援するのではなく、あくまで「自助と自立の精神」「知恵と工夫の競争による活性化」を前提に、「地域が自ら考え、行動する、国はこれを支援する」との考え方の下に、地域経済の活性化と地域雇用の創造を図り、持続可能な地域再生を実現することである。これまでの地域振興の取組みは国の一方的な立案によって実施されていたが、地域再生法の実施に伴い、地方自治体はもちろん、地域のさまざまな人々が知恵を出しあい、国の政策立案に参画できるようになった。

 地域活性化の取組みは、地域再生法が制定されるまで、小泉内閣が掲げた「聖域なき構造改革」の切り札とした、規制緩和の特例措置として実施された「構造改革特別区域」(「構造改革特別区域法」2002年12月)と、地域の再生と雇用の創出をねらいとした「地域再生推進プログラム」(2004年2月、国の支援措置としてスタート)によって行われていた。

 本法が制定された背景には、「地域再生推進プログラム」の下で実施されていた地域再生の取組みと、「構造改革特別区域(構造改革特区)」の施策とが「車の両輪」となって連携し合い、地域の活性化を、全国ベースで、より強力に推進すべきであるという基本的な考え方があった。「構造改革特区」が、特定地域における限定的な事業を対象とした規制改革で、財政措置を伴っていなかったのに対し、「地域再生」は、交付金や課税特例等の支援措置があり、国の認定を受けるすべての地域、あるいは分野において財政支援が適用されるようになった。

 地域再生の支援を受けるには、地方自治体が内閣府の定める「地域再生基本方針」に基づいて「地域再生計画」を作成して、同府に申請し、その認定を受ける必要がある。内閣府が前記基本方針を策定するに際しては、地方自治体に限らず、民間企業、個人、NPO(民間非営利組織)など地域のあらゆる主体が、支援措置についての提案ができ、また、これら地域の主体は、地域再生事業にも直接参画できる仕組みになっている。

 2005年の施行以降、2008年9月の第11回認定申請受付までに、認定を受けた地域再生計画の累計は1076件(市町村合併等により実数としては1065件)に及んでいる。

 地方再生制度をめぐる第一の問題は、今後構造改革特区と競合し、その制度の意義に影響を与えないかということである。構造改革特区制度は、実情にそぐわないために、民間企業の経済活動や地方公共団体の事業の妨げになっていた国の規制を、地域を限定して改革することによって、構造改革を進め、地域を活性化させる制度である。この制度と地域再生法が並立することになるので、地域限定を手がかりに国の特別の支援を受けずに地域活性化に取り組む構造改革特区が、地域再生の全国的な展開のなかに取り込まれ、結局は規制によって保護された、従来型の画一的な地域活性化に陥る懸念が生ずる。

 第二の問題は、上記の法制度や政策の対象が、従来型公共事業と変わらない事業、たとえば、道路、農林道、港湾・漁港などの整備に重点が置かれていることである。確かに地域再生制度は、構造改革特区とともに、従来の国中心の政策形成のあり方を根底から転換するものである。だが当該土木建設事業は、政府がこれまで地域開発の主要事業として位置づけ、実施されてきたものである。結果は、地域の開発・発展どころか、むしろ衰退、荒廃をもたらしてしまった。基本的視点や方向性無しに、過去の制度や政策手法を繰り返しているようにも思える。

[中野博明]

『林宜嗣著『新・地方分権の経済学』(2006・日本評論社)』『西村清彦監修、御園慎一郎・大前孝太郎・服部敦編『地域再生システム論――「現場からの政策決定」時代へ』(2007・東京大学出版会)』『第一法規編・刊『法令解説資料総覧』323、324号(2008、2009)』『本間義人著『地域再生の条件』(岩波新書)』

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