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地方分権 ちほうぶんけんdecentralization

翻訳|decentralization

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

地方分権
ちほうぶんけん
decentralization

中央政府が地方政府に対し,政治や行財政の制度面,運営面で大幅に自律性を認めている仕組み。これに対し,中央政府に権限や財源を集中し地方政府の運営に強力な統制や干渉を加えている仕組みを中央集権という。日本は第2次世界大戦後,憲法や地方自治法により地方分権的な仕組みをもつようになったが,実際は中央政府に権限・財源が集中し,その強い統制と干渉のもとで自治体運営が行われ,三割自治といわれる。今後,シャウプ勧告で指摘された税財政,行政の市町村優先の原則を実現し地方分権が進められるべきであるとの声は強い。地方制度調査会第二臨調行革審など政府の各種答申をはじめ,青年会議所の地方分権推進運動や自治体の政策研究などの地域レベルからも地方分権を求める運動が高まっている。

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知恵蔵の解説

地方分権

政策決定権限と自由な財源を住民に近い地方自治体に移すこと。近代国家形成以来、日本は中央集権体制の国家であった。中央政府に権力、財源、人材を集中し、国家発展の設計図を描き、戦前の富国強兵、戦後の経済成長の路線を走ってきた。中央集権は日本だけではなく、欧米よりも遅れて近代化を始めた国にはある程度共通した問題である。国内の経済的な格差が大きい状況から始まって、経済、教育、社会保障などの政策的な基盤を全国に普及させ、国民に最低限度の生活水準(ナショナルミニマム)を確保するためには、中央集権は必要な段階だったということもできる。しかし、近代化を一応達成した後の時代では、中央集権は地域の豊かな発展にとっての足かせとなる。全国画一の制度は、地域においては住民の持つ需要とミスマッチを引き起こす。住民の需要にこたえて効率的な政策を立案・実施するためには、地方分権が必要とされている。日本では、1990年代後半から地方分権推進委員会の提言に沿って、分権が進められてきた。小泉政権のもとでは、税源移譲、補助金削減、地方交付税改革の3つの制度にわたって、財源面で三位一体改革が進められてきた。

(山口二郎 北海道大学教授 / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

地方分権【ちほうぶんけん】

国家や社会集団で,できるだけ多くの権力を中央部から地方に分散する場合をいう。中央集権の対。現行憲法第8章は,国から独立した地方公共団体に自治権の分与を保障している。
→関連項目行政改革行政改革審議会三位一体改革地域主権地方自治法地方分権一括法

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世界大百科事典 第2版の解説

ちほうぶんけん【地方分権】

中央集権に対立する語で,地方政府(地方自治体)に責任と権限が分散している状況をいう。 現代国家は,地方政府に何がしかの自治権を付与している。だが,いずれの国家でも,20世紀に入ると中央政府への権力集中が進行した。かつて,地方政府が中央(連邦)政府の公権力の独占に対抗機能をもっていたアメリカイギリスでも,地方政府の意思決定の条件が,中央政府によって支配されていることが指摘される。日本は,明治以来,高度に集権的な国家として発展してきており,地方自治は中央政府支配機構の中に位置づけられてきた。

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大辞林 第三版の解説

ちほうぶんけん【地方分権】

権力を中央統治機関に集中させずに、地方の自治団体に広く分散させること。 ↔ 中央集権

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

地方分権
ちほうぶんけん

地方の政治は地方住民が選んだ代表者(議員・長など)や地方政治機関を通じて行うべしとする考え方、あるいはそのような政治機構。「地方自治は民主主義の学校である」(ブライス)といわれるように、近代国家成立後、イギリス、アメリカのような民主主義国家では、地方自治尊重の政治原理を確立した。近代国家では、一つの権力、一つの政府、一つの法律に基づいて政治が行われ、その意味で国家の最高意志はあくまで中央に集権されるべきであるという前提にたちつつも、そのような最高意志は地方の利益を基礎に形成されるべきであるという考えが地方分権の思想である。
 第二次世界大戦前の日本では、憲法上、地方自治に関する明文の規定はなく、中央政府の任命する知事が中央の監督・指示に従って地方政治を指導したので、中央集権的政治とよばれた。戦後は、日本国憲法において「地方自治」という1章をとくに設け、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」(92条)、「(1)地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。(2)地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」(93条)と規定している。これにより、地方分権が制度的に保障され、住民投票などを通じての原子力発電所設置反対、沖縄基地反対運動にみられるような民主政治を求める住民運動も活発化した。
 しかし、「3割自治」といわれるように、地方公共団体が徴収できる財源は3、4割にすぎず、その他の財源は国に依存せざるをえない。また地方公共団体の行政の7割近くが国からの委任事務であるという地方自治の現状では、地方分権による健全な地方政治の実現というにはほど遠く、1990年代末ごろから「地方分権改革」が叫ばれるようになった。すなわち1999年(平成11)に地方分権一括法が制定され、とくに小泉政権時代に「三位一体(さんみいったい)政策」という形での地方への権限と財源の移譲による「自治型社会の実現」を目ざす方向が進められた。そして2006年には地方分権改革推進法が成立し、2007年には地方分権改革推進委員会が設けられ、2009年11月までに4回の勧告が内閣総理大臣に提出された。2009年9月に成立した鳩山由紀夫(はとやまゆきお)民主党内閣は、自治体と地域住民が「まちづくり」の主体になることを目ざす「地域主権改革」を掲げ、地域主権推進一括法案の制定を進めた。こうした「地方分権」から「地方主権」への転換という背景には、全国知事会などの影響力も考えられる。[田中 浩]

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