大学事典 「教授団革命」の解説
教授団革命
きょうじゅだんかくめい
19世紀までのアメリカ合衆国の理事会・学長による大学支配が,20世紀初頭,教授団の主導に置き換わり,1960年代にその頂点に達したというデイヴィッド・リースマン(David Riesman,1909-2002)の解釈。地域や宗派の利益に奉仕した19世紀までのカレッジの多くは,学長のもと2,3名の教授が卒業直後の若いチューターとともに,100名前後の学生を教えた。教授団は到底学長や理事会の対抗勢力となれなかった。学問の専門分化とカレッジの大規模化が進み,能力主義の社会に向け学生を訓練する必要が深刻化すると,教授団は勢い専門諸分野の担い手で構成されるようになった。加えて大学院への進学が普及し,カレッジがその準備機関になると,特定の地域や宗派の利益が幅を利かす余地はなくなり,教授団の参与なしに決定できる学務事項はほとんどなくなった。学問研究への信頼が専門学者たち全盛の時代を築き上げたのである。
著者: 立川明
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報