改訂新版 世界大百科事典 「教育の世紀」の意味・わかりやすい解説
教育の世紀 (きょういくのせいき)
1923年10月~28年11月,教育の世紀社によって発行された自由主義的な月刊教育雑誌。教育の世紀社は,23年の初めに野口援太郎,下中弥三郎,為藤五郎,志垣寛の4人が,〈教育の実質,内容,方法上における革新運動〉を目ざして結成した教育団体である。その事業としては《教育の世紀》の発行のほか,理想の学校〈児童の村〉の建設と経営を目ざした。責任者の野口援太郎は,イギリスの新教育指導者エンザーBeatrise Ensorとの文通によって国際的新教育運動との連携を尊重したので,《教育の世紀》には教育改造の国際的動向が色濃く反映した。また,発足した池袋児童の村小学校の教育についての報告も掲載され,当時の新教育実践と理論を知るうえで貴重な資料となっている。27年の秋には,運動の不振のために編集,発行が困難となり,教育の世紀社は解体し,為藤五郎が引き継ぐが,まもなく廃刊となった。
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執筆者:中野 光
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報