普及版 字通 「敝」の読み・字形・画数・意味
敝
12画
[字訓] やぶれる・すてる・おおう
[説文解字]
[甲骨文]
[字形] 会意
(へい)+攴(ぼく)。は市(へいふつ)、縫い飾りのある礼装用のひざかけ。その飾りはいたみやすく、攴を加え敝敗の意を示す。〔説文〕七下に「(ふつ)なり。一に曰く、敗衣なり」とし、の亦声とする。は前条に「敗衣なり。巾に從ひ、衣の敗るる形に象る」とあり、同義の字とするが、はの象。敝はその敝敗の意である。は・黻(ふつ)と同じく、膝(ひざかけ)の黼黻(ほふつ)文章のあるものをいう。敝のように、衣裳に攴を加えるのは、あるいは呪的な目的をもつ行為であろう。衣裳は古代にはその霊を包むものと考えられており、死喪の礼に哀・(衰)・(かい)・襄(じよう)など衣に関する字が多い。
[訓義]
1. やぶれる、ほころびる、くずれる、そこなう。
2. つかれる、まける、おとろえる、つきる。
3. すてる、つまらぬもの。
4. と通じ、おおう、ひざかけ。
5. 謙称として用いる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕敝 ヤブル
[部首]
〔説文〕は部首字の条に敝を属し、〔玉〕は敝字条に「或いはに作る」とし、俗字として(弊)を加えている。は斃と同字。みな労罷(ろうはい)の意がある。
[声系]
〔説文〕に敝声として・・(幣)・など十二字を収める。おおむね敝敗・翳の意をもつ字である。
[語系]
敝・biatは同声。敗beatは声近く、ともに敝敗の意がある。敗はもと鼎に従い、鼎銘などを削り傷めることで、その行為を敗賊という。(賊)も鼎銘を傷める意。礼装用のに攴を加えるを敝といい、神聖な鼎銘を刻り傷つけることを敗という。敝・敗は同系の語である。
[熟語]
敝悪▶・敝衣▶・敝帷▶・敝幃▶・敝▶・敝屋▶・敝壊▶・敝褐▶・敝器▶・敝虧▶・敝裘▶・敝居▶・敝筥▶・敝筺▶・敝▶・敝屐▶・敝▶・敝▶・敝膝▶・敝習▶・敝人▶・敝扇▶・敝素▶・敝卒▶・敝宅▶・敝腸▶・敝▶・敝蠹▶・敝衲▶・敝賦▶・敝服▶・敝兵▶・敝邑▶・敝里▶・敝履▶・敝裂▶・敝廬▶・敝漏▶
[下接語]
改敝・敝・毀敝・窮敝・蠱敝・刻敝・衰敝・積敝・敝・俗敝・待敝・敝・彫敝・蠹敝・鈍敝・破敝・敗敝・罷敝・靡敝・補敝・余敝・流敝・裂敝・労敝
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報