普及版 字通 「敦(漢字)」の読み・字形・画数・意味
敦
人名用漢字 12画
[字訓] うつわ・あつい・まこと・いかる
[説文解字]
[金文]
[字形] 形声
正字は(たい)に従い、声。は礼器で、盛食の器。(き)と同系のものであるが、器蓋同形、蓋(ふた)を倒(さか)さにおけば器と同形となるもので、合わせると球形となる。〔説文〕三下に「怒るなり。詆(そし)るなり。一に曰く、誰何(すいか)するなり」とあり、一曰の義は「孰(たれ)か」の意。怒る、詆るの訓は(たい)字の義。礼器としての敦は列国期に至って行われ、〔斉侯敦(せいこうたい)〕「齊侯~孟姜の膳敦を作る」のような自名の器が多い。敦厚の義は惇(とん)と通用の義。敦を敦伐(たいばつ)の意に用いることは周の金文にみえ、〔宗周鐘〕に「王、伐(たいばつ)して其れ至り、厥(そ)のを伐(はくばつ)す」とあり、〔詩、大雅、常武〕「淮の(ほとり)を鋪敦(ほたい)す」は「」の意である。
[訓義]
1. うつわ、礼器の名、器蓋合して球形の器。
2. 惇と通じ、あつい、まこと。
3. 椎と通じ、うつ、せめる、とがめる、せまる。
4. (たい)と通じ、いかる、そしる。
5. 屯(とん)と通じ、あつまる、むらがる。
[古辞書の訓]
〔新字鏡〕敦 於己曾加尓(おごそかに) 〔名義抄〕敦 ツトム・ツラナル・ツラヌ・アツシ・アツマル・アツクス・マコト・ヤスシ・カムガフ・ススム・ヲサム 〔字鏡集〕敦 アツカル・カムガフ・マコト・ツラヌ・マサシ・アツシ・アツム・ハカル・ツカル・アツマル・ツトム・ヤスシ・ツラナル・コトハリ・ススム
[声系]
〔説文〕に敦声としてなど四字を収める。はなお敦伐の古意を承ける字であろう。
[語系]
敦・惇tunは同声。惇は惇厚の意。(追)tuiは敦伐の意と関係があろう。〔周礼、天官、追師、注〕に、を玉石を琢治する意とし、声義が近い。また椎diui、・捶tjiuaiも同系の語で、みな椎撃することをいう。toai、揣tshiuaiも声義近く、強くうつことをいう。敦はその椎撃する音の擬声語とも解され、を殴(う)つ形に作る。敦は器蓋合して円形をなすが、屯dunは合してまるめる意。また一系の語である。
[熟語]
敦敦▶・敦琢▶・敦忠▶・敦徳▶・敦盤▶・敦遺▶・敦悦▶・敦説▶・敦悪▶・敦化▶・敦雅▶・敦概▶・敦愨▶・敦学▶・敦勧▶・敦顔▶・敦弓▶・敦旧▶・敦圉▶・敦敬▶・敦愿▶・敦固▶・敦故▶・敦厚▶・敦行▶・敦至▶・敦祗▶・敦質▶・敦実▶・敦淳▶・敦如▶・敦尚▶・敦信▶・敦慎▶・敦仁▶・敦崇▶・敦然▶・敦俗▶・敦大▶・敦貞▶・敦篤▶・敦▶・敦敏▶・敦風▶・敦聘▶・敦勉▶・敦慕▶・敦▶・敦厖▶・敦睦▶・敦樸▶・敦樸▶・敦穆▶・敦密▶・敦諭▶・敦誘▶・敦良▶・敦▶・敦礼▶・敦励▶・敦和▶
[下接語]
瓦敦・貴敦・玉敦・厚敦・困敦・渾敦・情敦・民敦・旅敦
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報