断熱ポテンシャル(読み)ダンネツポテンシャル

化学辞典 第2版 「断熱ポテンシャル」の解説

断熱ポテンシャル
ダンネツポテンシャル
adiabatic potential

分子をつくっている原子核運動を論じるとき,原子核は電子よりはるかに質量が大きいため,その運動は電子よりも非常に遅い.そこで各瞬間ごとに原子核は静止しているとみなして電子系のエネルギーを表すことができる(ボルン-オッペンハイマー近似).このようにしてつくられたポテンシャルを断熱ポテンシャルという.通常,理論的に描かれている二原子分子のポテンシャルエネルギー曲線や多原子系のエネルギー曲面は,いずれも断熱ポテンシャルである.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「断熱ポテンシャル」の意味・わかりやすい解説

断熱ポテンシャル
だんねつポテンシャル
adiabatic potential

量子力学的に分子を扱うとき,原子核は電子よりはるかに重いため,原子核の速さは電子の速さに比べて桁違いに遅く,近似的に原子核は止っているものと考えて電子の運動を調べることができる。この近似法断熱近似と呼び,原子核間の距離関数として表わした電子系のエネルギーを断熱ポテンシャルという。表面振動や核分裂を断熱ポテンシャルを用いて扱うことが多い。

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